「年収798万円以上」なら厚生年金保険料が増額予定…対象となるのは日本の上位何%?
配信日: 2025.03.16

今回は、年収798万円以上の方の割合や、厚生年金保険料が引き上げられたとした場合の影響などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収798万円以上の方はどれくらいいる?
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、年収が800万円を超えている人数は表1の通りです。
表1
年収 | 人数 |
---|---|
800万超~900万円以下 | 163万8000人 |
900万超~1000万円以下 | 119万1000人 |
1000万超~1500万円以下 | 203万5000人 |
1500万超~2000万円以下 | 45万1000人 |
2000万超~2500万円以下 | 14万3000人 |
2500万円超~ | 16万2000人 |
出典:国税庁長官官房企画課「令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を基に筆者作成
年収798万円以上を800万円超以上の方と仮定すると、合計で562万人です。調査における給与所得者は全体で5076万人いるため、全体の約11%が年収800万円超えになります。
もし年収798万円以上の方に対して厚生年金保険料の引き上げが実施される場合、1割強の方が対象となるでしょう。
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厚生年金保険料が引き上げられるとどんな影響がある?
厚生年金保険料の引き上げと聞くと、負担が増えるイメージを持つ方がいるかもしれません。実際、支払う金額は増えますが、その分メリットもないわけではありません。
そこで、厚生年金保険料の引き上げによるデメリットとメリットについて解説します。
手取りが減る
会社員の場合、厚生年金保険料は給料から差し引かれる形になります。そのため、厚生年金保険料額が高くなると給料から引かれる金額も多くなり、手取り額が少なくなるでしょう。
なお、今回の引き上げ案で進められているのは、正確には「標準報酬月額上限の引き上げ」です。現在は厚生年金保険料の標準報酬月額上限は65万円ですが、もし改正案が実施されると75万円から3段階で徐々に上がっていくとされています。
標準報酬月額の計算にはボーナスは含みません。例えば、ボーナスを含めない年俸800万円の方は引き上げの対象になります。しかしボーナスが150万円、ボーナス以外の収入が年650万円の場合は対象にならないようです。
標準報酬月額の上限が75万円に引き上げられた場合、保険料の負担額は月9000円増加するともいわれています。
年金が増える
厚生年金保険料の引き上げにより標準報酬月額の上限が上がると、将来受け取れる年金も増加します。これは、老齢厚生年金額は標準報酬月額と賞与額を基に計算されるためです。
老齢厚生年金額は、加給年金などがなければ報酬比例部分を求めることで分かります。日本年金機構によると、報酬比例部分の計算式は厚生年金保険の加入時期によって以下の2通りです。
・平成15年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月までの加入月数
・平成15年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以降の加入月数
引き上げられてからの標準報酬月額が影響するため、計算が変わるのは2つ目の平成15年4月以降の計算式となります。どのくらい年金が増えるのかは、日本年金機構に相談して確認してみましょう。
給与所得者の約11%が800万円超の年収を受け取っている
国税庁の資料を見ると、給与所得者全体のうち約11%の方が800万円超の収入を得ていることが分かります。今回の厚生年金保険料引き上げ案で影響があるとされているのは年収798万円以上の方です。1割以上の方が引き上げによる影響を受ける可能性が高いでしょう。
厚生年金保険料は給料から差し引かれるため、厚生年金保険料が引き上げられると、その分手取り額が減ります。
一方で、厚生年金保険料の引き上げにより、将来受け取れる老齢厚生年金額も増加します。負担は増えるものの将来の収入が増えると考えれば、一概にデメリットだけともいえないでしょう。
出典
国税庁長官官房企画課 令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-(23ページ)
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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