「年収700万円」ですが、ようやく貯金が1000万円に。家族との時間を作りたいので50歳で「早期退職」するか悩んでいますが、60歳で退職するときと比べて年金はいくら減るのでしょうか?
配信日: 2025.03.21

しかし、早期退職は年金額が減るデメリットもあります。今回は、早期退職で年金額がいくら変わるのか、またメリットやデメリットについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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早期退職をすると年金額はいくら変わる?
早期退職をすると、厚生年金保険に加入する期間が短くなり、退職期間を早めた分だけ老齢厚生年金額が少なくなります。老齢厚生年金は加入月数に応じて増加するためです。
老齢厚生年金額を求めるには、報酬比例部分を計算しましょう。日本年金機構によると、厚生年金保険に加入したタイミングが平成15年4月以降だった場合、計算式は「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」です。平均標準報酬額は、標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入月数で割って求められます。
そこで、今回は、以下の条件で、50歳で早期退職したときと60歳まで働いてから退職したときの年金額の差を求めましょう。
・年収700万円
・ボーナスは考慮しない
・厚生年金には平成15年4月以降に加入
・報酬比例部分が老齢厚生年金額とする
・年収を12ヶ月で割ったものを報酬月額とする
・勤務期間すべてで年収が同じだったとする
・国民年金は全額納めている
・老齢基礎年金額は令和6年度のものを使用
・勤務開始は22歳から
・年金の受け取りは65歳から
なお、今回はすべての勤務期間で年収700万円としていますが、実際には若いうちは年収が少ないケースが一般的なので、受け取れる年金額は計算したものより少なくなる可能性が高くなります。今回の計算例は、あくまでも参考としてください。
50歳まで働いたとき
22~50歳まで働いたとすると勤務年数は28年、月数にして336ヶ月になります。また、今回のケースで年収700万円のときの報酬月額は約58万3333円、標準報酬月額は59万円です。ボーナスは考慮しないため、平均標準報酬額も59万円になります。
これらを報酬比例部分の計算式に当てはめると「59万円×0.005481×336ヶ月」となり、老齢厚生年金額は約108万6553円です。また、日本年金機構によると、令和6年度の老齢基礎年金額は月額6万8000円、年間81万6000円になります。
老齢厚生年金と老齢基礎年金額を合計すると、年金額は約190万2553円です。月額で約15万8546円を受け取れます。
60歳まで働いたとき
退職年齢が60歳になると、勤務年数が38年、月数換算で456ヶ月になります。報酬比例部分の計算式に当てはめると「59万円×0.005481×456ヶ月」となり、老齢厚生年金額は約147万4608円です。
老齢基礎年金額と合計すると約229万608円となり、月額約19万884円を受け取れます。50歳で退職したときと比較すると、年間38万8055円、月額3万2338円の差です。
年金額だけで見ると、長く働いた方が老後の収入は多くなるでしょう。
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早期退職のメリットとデメリットとは
貯金に余裕がある場合、早期退職をすることで家族との時間を多く取れたり、趣味に時間を費やせたりするメリットがあります。また、貯金を元手に新たなキャリアを目指すのもよいでしょう。さらに、早期退職により働くことで生じていたストレスからも解放されます。
一方で、早期退職をすると老後の年金額は減少する点がデメリットです。また、65歳から年金を受け取る予定の場合は、収入のない期間が長くなります。
そのため、想定よりも生活が苦しくなる可能性もあるでしょう。貯金を基に生活費を工面して早期退職するときは、実行する前に、年金受取開始までの10年以上を貯金だけで生活できるか試算することがおすすめです。
年収700万円で50歳で早期退職をすると60歳まで働いたときと比べて年金額は38万円ほど変わる場合がある
今回のケースだと、年収700万円の方が50歳で早期退職をしたときと60歳で定年退職をしたときで、年金額に38万8055円の差がありました。月額3万2338円の差です。
もし、貯金に大きく余裕があって、年金額が減っても問題ない場合は、早期退職により家族と過ごす時間を増やせたり趣味に時間を費やせたりするなどのメリットがあります。しかし、想定よりも日々の出費が多くなると、早期退職で生活が苦しくなる可能性があります。
早期退職をしてから後悔しないように、一度生活費を貯金で賄いきれるのか、計算した方がよいでしょう。
出典
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー