65歳から年金は「月15万円」の予定。収支がトントンで「なんとかなる」と安心していたら、振り込まれた手取り額にビックリ! 引かれる「税金・保険料」をシミュレーション
配信日: 2025.03.26

年金支給額は「ねんきん定期便」を確認すれば見込額がわかりますが、例えば「月15万円」の年金支給が見込まれている場合、税金や保険料が天引きされるため、「年金手取り額」は15万円よりも少なくなります。
年金手取り額はいくらになるのか、実際の数字をあてはめてシミュレーションしてみましょう。

執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
年金から「天引き」される税と保険料とは
年金から天引きされる税・保険料と、その内容は以下のとおりです。
所得税(および復興特別所得税)
老齢年金による所得は「雑所得」に区分され、年金受取人が65歳未満の場合は、その年の年金の受給額が60万円以上のとき、65歳以上の場合は110万円以上のとき、所得税および復興特別所得税の源泉徴収(天引き)の対象になります。
金額は社会保険料など、各種の控除額を引いた金額に復興特別所得税含む税率5.105%をかけたものです。
住民税
現役で労働しているときに差し引かれる住民税と同じく、前年の所得を基準に計算します。その年の4月1日現在において65歳以上で、年金の年額が18万円以上であれば年金から住民税が天引きされます。
介護保険料
40歳以上のすべての人が支払う保険料で、年金暮らしの65歳以上でも例外なく負担することになります。会社員などは40~64歳までならば会社と個人が折半して負担しますが、65歳以上になると「全額自己負担」になることに注意が必要です。年金の年額が18万円以上の場合に天引きされます。
国民健康保険料および後期高齢者医療保険料
65歳以上75歳未満の人は「国民健康保険料」が、75歳以上の人は「後期高齢者医療保険料」が年金から差し引かれます(65歳以上75歳未満の場合でも、重度障害などが理由で後期高齢者医療保険制度に該当するときは、後期高齢者医療保険料が差し引かれます)。
今回のケースである、65歳で年金が額面で月額15万円程度(年額180万円程度)振り込まれる予定の人は、上記の4種の税・保険料が全て差し引かれることになります。
「ねんきん定期便」に書かれた見込額よりは手取り額が目減りしてしまうので、老後の生活をシミュレーションする際には、必ず税・保険料の負担額を計算して、ライフプランに組み込んでおきましょう。
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年金「額面15万円」の場合の手取り額は?
ここでは、以下のようなモデルケースを想定して「年金の手取り額」を計算してみます。
・東京都世田谷区在住
・扶養親族なし
・年金は額面で年間180万円(月額15万円)
・年金以外の収入なし
まず、各種の年間社会保険料をシミュレーションすると以下の通りになります。
(所得基準額)
180万円-110万円(公的年金等控除)-43万円(基礎控除)=27万円
(国民健康保険医療分・支援分)
27万円×(8.69%+2.8%)+4万9100円(医療分均等割)+1万6500円(支援分均等割)=9万6500円(100円未満切り捨て)
(介護保険料)
6225円(月額基準額)×1.2(合計所得120万円未満)×12ヶ月=8万9640円
よって、年間の社会保険料負担額は9万6500円+8万9640円=18万6140円となります。
所得税・住民税は以下のように計算されます。
(所得税)
180万円(年金所得)-110万円(公的年金等控除)-48万円(基礎控除)-18万6140円(社会保険料控除)=3万3000円(課税所得、1000円未満切り捨て)
3万3000円×5.105%(税率)=1600円(所得税額、100円未満切り捨て)
(住民税)
180万円(年金所得)-110万円(公的年金等控除)-43万円(基礎控除)-18万6140円(社会保険料控除)=8万3000円(課税所得、1000円未満切り捨て)
8万3000円×10%(税率)+5000円(均等割額)=1万3300円(住民税額)
(調整控除後は1万800円)
よって、年間180万円の年金から天引きされる税金・社会保険料の合計額は19万8540円、手取り額は180万円-19万8540円=160万1460円と計算できます。月額に直すと13万3455円となり、額面の年金支給額から11%ほど目減りするという結果になりました。
まとめ
東京都世田谷区在住の単身者が年間180万円の年金を受け取り、それ以外の収入がない場合の手取り額はおよそ160万円程度になります。これは額面金額から11%程度目減りする計算で、老後のライフプランを行う上では無視できない減少幅です。
引退後の生活をシミュレーションする際は、必ずファイナンシャル・プランナーなどに相談し、正確な手取り額を把握することをおすすめします。
出典
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント