ずっと「非正規雇用」で働いています。老後は年金だけで暮らせないのでしょうか?
配信日: 2025.03.30 更新日: 2025.04.02


執筆者:小山英斗(こやま ひでと)
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/
目次 [非表示]
非正規雇用であっても、厚生年金の加入有無によって、年金額に差が出る
将来受け取れる年金額は、正規雇用(正社員)や非正規雇用(パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など)といった雇用形態の違いで決まるわけではなく、加入する年金制度によって違いが生じてきます。
日本における年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2つを主な柱としています。
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、働き方に関係なく国民年金に加入することになっています。保険料は一律で、将来もらえる年金額は納めた保険料と加入期間に応じて決まります。
一方、厚生年金は、加入条件を満たしている人のみが対象となります。保険料は収入に応じて変動し、将来もらえる年金額は、保険料を納めていたときの収入と加入期間に応じて決まります。そのため、収入が多く加入期間も長ければ、その分、将来受け取る年金額も多くなります。
厚生年金の加入条件
●週の所定労働時間が20時間以上
●所定内賃金が月額8万8000円以上
●2ヶ月を超える雇用の見込みがある
●学生ではない
●従業員数51人以上の企業で働いている(2024年4月以降)
出典:政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます」
非正規雇用の場合、働き方によっては厚生年金の加入条件を満たさず、加入できるのが国民年金のみになることもあるため、将来の受給額が少なくなってしまうことがあります。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
非正規雇用の平均収入と将来の年金額
非正規雇用の収入は、勤め先の企業規模や業種・職種、年齢、性別などによっても異なりますが、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、平均月額で男性25万9200円、女性21万300円となっています。年収に換算すると男性が約311万円、女性が約252万円です。
平均収入から年金額を試算する
ここでは仮に、厚生年金の加入条件を満たしている非正規雇用の男性が、20歳から年金がもらえるようになる65歳までの45年間、平均月額25万5000円で働いた場合に、将来もらえる年金額を試算してみます。
国民年金で将来もらえる老齢基礎年金額は、40年間保険料を納めることにより満額でもらえる、年81万6000円(令和6年4月分から)となります。
厚生年金で将来もらえる老齢厚生年金額は、以下の式で求めます。
老齢厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
老齢厚生年金額は上記3つの合計額ですが、経過的加算や加給年金額は、厚生年金に加入していた年齢や家族構成などで変わってくるため、この試算では省略し、報酬比例部分のみを試算対象とします。
報酬比例部分は、加入期間に応じた、以下のそれぞれの式の合計で求めます。
平成15年3月までの計算式
【平均標準報酬月額(※1)×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間月数】
平成15年4月以降の計算式
【平均標準報酬額(※2)×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間月数】
※1:平成15年3月までの各月の標準報酬月額の総額を加入期間月数で割った額
※2:平成15年4月以降の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間月数で割った額
ここでは加入期間を平成15年4月以降分のみとして試算することとし、平均標準報酬額を25万5000円とした場合、厚生年金で将来もらえる老齢厚生年金額は約75万4700円となります。
この試算によれば、非正規雇用の男性が将来もらえる年金額は、老齢基礎年金額81万6000円と老齢厚生年金額75万4700円の、合計157万700円となります。月額では約13万800円です。
老後に年金だけで暮らしていける?
老後の生活費はライフスタイルや住む地域などによっても異なりますが、総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕 2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出は月14万9286円となっています。
試算した非正規雇用の男性の場合では、年金月額は約13万800円でしたから、65歳以上の単身無職世帯の消費支出に対して、毎月約1万8400円の赤字ということになり、年金だけでは足りないことが分かります。
また、同家計調査報告によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は25万6521円となっています。仮に、試算した男性の配偶者の年金額が、老齢基礎年金額の満額である81万6000円のみだった場合、夫婦合計の年金額は約238万6700円、月額では約19万8800円となります。こちらも、年金だけでは足りないことが分かります。
なお、家計支出には消費支出以外に非消費支出(税金や社会保険料など)もあります。そのため非消費支出も加味すると、年金だけではもっと足りないことになります。
年金だけでは足りない分をどうする?
将来の年金だけでは生活費として足りない分は、老後も働き続けることで不足分をカバーしたり、現役時代から老後資金をためておいたりして補てんする必要があります。
老後資金の準備を若いうちから始めることができるのであれば、老後までの長い時間を味方につけて、積み立て投資などをしながら複利の力で資産を増やすことも検討するとよいでしょう。
今は税金の面で優遇のあるiDeCoやNISAといった制度もあります。投資をする際には、そのような制度を利用することも有効な手段です。ただし、リスクをよく理解しながら、日々の生活に影響の出ない範囲のお金で投資を行うことが大切です。
また、貯蓄力を高めるために、収入を上げる働き方を目指すことも大切です。一般的には、非正規雇用と比べて正社員の収入のほうが高い傾向にありますが、専門性の高いスキルを持つことによって、契約社員や派遣社員でも高い収入を得られる場合があります。
まとめ
一般的な非正規雇用の年収をもとにした試算によれば、老後の生活において、年金だけで暮らすのは厳しそうです。しかし、これはあくまで一般的な統計値からの試算によるものですので、全員に当てはまるものではありません。
人によってライフスタイルはさまざまです。自分のライフプランや必要な老後の生活費などをしっかり検討して、将来に備えるようにしましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
政府広報オンライン パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)