私の母は「生活保護」を受けています。生活保護を受けている場合でも、「老後」に「年金」をもらえるのでしょうか?
配信日: 2025.04.09


執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
生活保護と公的年金は同時に受給することは可能だけれど……
まず結論から申し上げると、公的年金を受給している場合でも生活保護を受けることはできます。受給できる目安としては、年金が最低生活費よりも少ないときといえます。つまり、最低限度の生活を送るための援助として生活保護を受けることが可能となるのです。
ここでポイントとなるのが受け取れる年金額です。年金は収入とみなされますので、受け取れる年金受給額によって生活保護を受給できるかどうかが変わってきます。
このことからも分かるように、「無条件で生活保護と公的年金をもらうことはできない」ということです。
生活保護と公的年金を同時に受給するためには、財産等に関する条件が重要です。どのような条件があるのか、詳しく見ていきましょう。
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生活保護と公的年金を同時に受給するための条件とは?
そもそも生活保護を受けるためには、最低限度の生活の維持が困難なときに支給されるものです。そのためには、世帯員全員で、その利用し得る資産、能力、その他を活用することが前提です。その前提となる4つは下記のとおりです。
(1) 資産の活用
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば、まずは売却等し生活費に充てること。
(2) 能力の活用
働くことが可能なら、能力に応じて働くこと。
(3) あらゆるものの活用
年金や手当など他の制度で給付を受けられるときには、まずそれらを活用すること。
(4) 扶養義務者の扶養
親族等から援助を受けられる場合は、援助を受けること。
(1)~(4)の項目をさらに深く掘り下げてみます。
まず現金や不動産等の財産を持っていない場合です。年金の活用には公的年金も含まれますが、受給する公的年金額が国の定める最低生活費を下回っているときには、生活保護を受給できることがあります。
ただし、このとき受け取れる生活保護の支給額は、最低生活費から年金受給額を差し引いた金額となります。
なお、最低生活費は居住地域や世帯人数や年齢などによって異なっており、居住地域は1級地-1〜3級地-2まで6段階に分類されており(※1)、各地域で生活に必要な額として基準額(※2)が定められていますので確認しておきましょう。
【 最低生活費認定額 =A+B+C+D+E+F 】
A:生活扶助基準(第1類+第2類)
B:加算額、C:住宅扶助基準、D:教育扶助基準、高等学校等就学費
E:介護扶助基準、F:医療扶助基準
家族からの援助が受けられないときにも、生活保護を申請できます。
生活保護を申請するときには、三親等までの親族を対象に申請者の扶養ができないかの「書面調査」が行われます。このとき援助するという親族がいるときには、生活保護を受けることはできません。反対に援助を断られた、回答がないときには、親族からの援助が受けられないと判断されるため、生活保護を受けられる可能性があります。
その他に、国から生活費を借りられる公的融資制度が利用できないかも検討する必要もあります。公的融資制度も「あらゆるものの活用」に該当します。
働くことを求められるケースもある?
生活保護の受給要件には、上記(2)の能力の活用もあります。病気やケガなどで働けない等のやむを得ない理由がないときには、働いて収入を得ることが求められ、生活保護を受けることはできません。
しかし、申請者が65歳以上で年金受給者のときには、能力の活用が求められないことが一般的なのですが、申請者の状況等によっては、働くことが求められるケースもあることを知っておきましょう。
生活保護と公的年金を同時に受給できることは可能ですが、さまざまな条件をクリアしなければなりません。まずは家族や親族間で話し合い、どのようにすればよいのか考えていくことも忘れてはなりません。
出典
(※1)厚生労働省 級地区分(H25.4.1)
(※2)厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)
厚生労働省 生活保護制度
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト