厚生年金保険料の「上限引き上げ」のニュースを見たけど、影響があるのはどんな人? 会社員「年収500万円」の自分には関係ある? 見直しの理由も解説
配信日: 2025.04.10

本記事では、厚生年金の標準報酬月額の上限が引き上げられると、どのような影響が出るのかを解説します。また、上限が見直されている理由についても紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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厚生年金の標準報酬月額とは?
「標準報酬月額」とは、厚生年金の保険料を計算する際に使われる金額のことです。1ヶ月分の給料を一定の金額幅ごとに区分けしたもので、厚生年金では32の等級に分かれています。
例えば、1ヶ月の給料が25万円の人の場合、標準報酬月額は「26万円」で標準報酬の等級は「17等級」です。厚生年金の保険料は、実際の給料の金額ではなく、この「26万円」という標準報酬月額を基に計算されます。
標準報酬月額の「17等級」に区分されるのは、1ヶ月の給料が「25万円以上27万円未満」の人です。つまり、1ヶ月の給料が25万円の人と26万9999円の人では、厚生年金の保険料は変わりません。
1番上の等級である「32等級」以上の人は、どれだけ年収が高くても保険料の金額は一律になります。今回厚生労働省で検討されている改正案は、32等級より上の等級を新たに設けて保険料の上限を引き上げよう、というものです。
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なぜ標準報酬月額の上限が見直されているの?
標準報酬月額の上限が見直されている理由は、保険料が上限に達している人の割合が多いからです。厚生労働省の第21回社会保障審議会年金部会の資料「標準報酬月額の上限について」によると、第1号厚生年金被保険者の「6.5%」が標準報酬月額の上限に達しています(図表1)。
図表1
厚生労働省 標準報酬月額の上限について
さらに、男性では「9.6%」が上限に達しており、ほかの等級と比べて突出している状況です(図表2)。
図表2
厚生労働省 標準報酬月額の上限について
上限に達している人は、支払い能力に対して相対的に軽い保険料負担となっているため、所得を再分配する観点から上限の引き上げを検討しているのです。これによって保険料収入が増加し、運用益も増加することが見込まれるため、年金の給付水準も上昇するとされています。
年収500万円の人には特に影響がない見込み
標準報酬月額の上限が引き上げられたら、どのような影響があるでしょうか?
現行の最上等級である「32等級」に当たるのは、1ヶ月の給料が「63万5000円以上66万5000円未満」の人です。これより上に等級が設けられる予定なので、実質的に影響があるのは月収「66万5000円以上」、年収に換算すると「798万円以上」の人の負担が増える見込みとなります。
そのほかの等級について、金額幅が修正されるなどの情報は特にありません。したがって、年収500万円の人には特に影響はないでしょう。
年金改革関連の法案が国会に提出される見込み
今回の改正案では、標準報酬月額の上限が現行の65万円から75万円に引き上げられると報じられた一方で、法案の具体的な内容はまだ分かっていません。現状、年収500万円の人には影響は出ない可能性が高いようですが、いずれにせよ状況は流動的ですので、今後の報道を注視する必要はあるでしょう。
出典
厚生労働省 社会保障審議会年金部会における議論の整理
厚生労働省 標準報酬月額の上限について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー