夫婦2人で「月20万円」の年金生活をしています。夫が亡くなったら、年金はどれくらい減ってしまうのでしょうか?
今回は、月額20万円で年金生活をしている、会社員であった夫と専業主婦の夫婦をモデルに、一方と死別した場合の年金収入の変化について解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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老齢年金と遺族年金
老齢年金を受給している方が亡くなった場合、一定の条件を満たすと遺族に遺族年金が支給されます。
1. 受給中の老齢年金の内訳
初めに、月収20万円の老齢年金の内訳を確認してみましょう。
老齢年金には、全国民が対象となる老齢基礎年金と、会社員であった方などに支給される老齢厚生年金があります(※1)。
モデルケースの場合、会社員であった夫には、老齢基礎年金に加え老齢厚生年金が支給されます。専業主婦であった妻には、老齢基礎年金しか支給されません。
老齢基礎年金の額は、満額で83万1700円(令和7年度額)ですので、月額にすると6万9308円となります。夫婦2人が満額の老齢基礎年金を受給していると仮定すると、20万円から夫婦の老齢基礎年金13万8616円を差し引いた月額6万1384円が夫の受給する老齢厚生年金の額となります。
夫の老齢基礎年金:6万9308円
夫の老齢厚生年金:6万1384円
妻の老齢基礎年金:6万9308円
2. 遺族年金の仕組みと年金額
老齢年金を受給していた方が亡くなった場合に、一定の条件を満たす遺族に支給される遺族年金にも、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります(※2)。
遺族基礎年金が支給されるのは、亡くなった老齢基礎年金を受給していた方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に限られます。モデル夫婦の場合、18歳未満の子または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子がいない限り支給対象とはなりません。
一方、遺族厚生年金では、老齢厚生年金を受給されている方が亡くなった場合、その方に生計を維持されていた子のない配偶者も受給対象者となります。モデルケースの場合、夫が亡くなると妻に遺族厚生年金が支給されます。
遺族厚生年金の額は、夫が受給していた老齢厚生年金の4分の3に相当する額となります。
夫婦の一方が亡くなった場合の年金額
モデルケースにおいて、夫婦の一方が亡くなった場合、残された一方に支給される年金額について見てみましょう。
1. 夫が亡くなった場合、妻に支給される年金額
老齢厚生年金を受給していた夫が亡くなった場合、妻には遺族厚生年金が支給されます。残された妻が受給する年金は、自分自身の老齢基礎年金と夫の遺族厚生年金を合わせて月額11万5346円となります。
夫の遺族厚生年金:4万6038円(6万1384円×3/4)
妻の老齢基礎年金:6万9308円
2.妻が亡くなった場合、夫に支給される年金額
妻が先に亡くなった場合、夫に支給される年金は、自分自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金となり、月額13万692円となります。
夫の老齢基礎年金:6万9308円
夫の老齢厚生年金:6万1384円
まとめ
老齢年金を受給している夫婦2人家族の一方が亡くなった場合、残された方に支給される年金は、自分自身の老齢年金と亡くなった方の遺族厚生年金になります。
遺族厚生年金が支給されるのは、老齢厚生年金を受給していた方が亡くなった場合に限られます。月額20万円の老齢年金を受給していた、会社員であった夫と専業主婦の夫婦の場合、夫が亡くなった後に残された妻には夫の遺族厚生年金が支給されますので、妻が受給できる年金の月額は11万5346円となります。
出典
(※1)日本年金機構 老齢年金
(※2)日本年金機構 遺族年金
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
