世帯年収「800万円」で妻は専業主婦。仕事がきついので「年収600万円」の会社に転職し、妻に年収200万円で働いてもらう予定です。将来の“夫婦の年金”が増えるそうですが、どれだけ増えますか?

配信日: 2025.05.22 更新日: 2025.10.21
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世帯年収「800万円」で妻は専業主婦。仕事がきついので「年収600万円」の会社に転職し、妻に年収200万円で働いてもらう予定です。将来の“夫婦の年金”が増えるそうですが、どれだけ増えますか?
長年会社員として働いてきた人にとって、転職は給与面だけでなく、将来の年金額にも影響を及ぼします。特に、配偶者が会社員として働き始める場合、公的年金の受給額がどのように変化するのか気になるところではないでしょうか。
 
本記事では、日本の公的年金制度の概要から、世帯年収は800万円で変わらないものの、転職後は自分が600万円、妻は200万円稼いだ場合の年金額を解説します。
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日本の公的年金制度の概要

日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建ての構造です。
 
国民年金(基礎年金)は20歳以上60歳未満の全ての人が加入し、会社員や公務員は厚生年金にも加入することで基礎年金に上乗せされた年金を受給できます。
 
専業主婦(夫)は、国民年金の「第3号被保険者」として、保険料を自身で納めることなく基礎年金の受給資格を得られます。一方、会社員は「第2号被保険者」として厚生年金にも加入するため、年金額が多くなるという仕組みです。
 

年収800万円の会社員と専業主婦がもらえる年金額

夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫は老齢基礎年金と老齢厚生年金を、妻は老齢基礎年金が受給可能です。
 
老齢基礎年金の受給額は、受給資格などの要件を満たしているかどうかで決まりますが、今回はどの場合も夫婦それぞれが満額の年間83万1700円(2025年度)もらえるものとします。
 
老齢厚生年金は「報酬比例部分」「経過的加算」「加給年金額」の合算ですが、今回はメインの「報酬比例部分」について見ていきます。
 
「報酬比例部分」として受け取れる年額は次のとおりです。
 
・報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の厚生年金加入月数
 
計算式に当てはめると、夫が40年間会社員として勤務し、その間の平均年収が800万円だった場合、報酬比例部分は約171万円となります。
 
よって、夫が年収800万円、妻が専業主婦だった世帯がもらえる年金の年額はおおよそ次のとおりです。

●夫:老齢基礎年金 83万1700円+報酬比例部分171万円=254万1700円
●妻:老齢基礎年金 83万1700円
●夫+妻:337万3400円

 

40歳以降に年収600万円と年収200万円になった場合にもらえる年金額

続いて、夫と妻がともに現在40歳で、これまでは夫だけ年収800万円だったものの、40歳以降は夫が年収600万円、妻が年収200万円となった場合を考えます。
 
計算の前提として、夫の生涯の平均年収は700万円で40年間会社員、妻は40歳以降20年間、ずっと年収200万円だったものとします。
 
この場合、夫と妻が受け取れる報酬比例部分の年額は夫が約155万2000円、妻は約22万4000円です。
 
よって、この前提で夫婦がもらえる年金の年額はおおよそ次のとおりです。

●夫:老齢基礎年金 83万1700円+報酬比例部分155万2000円=238万3700円
●妻:老齢基礎年金 83万1700円+報酬比例部分22万4000円=105万5700円
●夫+妻:343万9400円

このように、前記の夫が年収800万円、妻が専業主婦の場合よりも年間で約6万円多くなりました。
 

まとめ

今回の事例では、「夫婦合わせて800万円を稼ぐ」ほうが、夫だけで800万円稼ぐよりも、年間で約6万円多く年金を受け取れる計算になりました。そのため、現在の仕事がきついからと転職を検討しており、年金面で不安を感じていても本事例のような場合であればそれほど気にしなくても良いかもしれません。
 
ただし、年金額の変化は、給与や勤務年数、加入期間によって異なります。具体的な試算をする際は、ねんきん定期便や公的年金シミュレーターを活用するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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