「月6万円の年金じゃ暮らしていけない」と祖母が嘆いています。実際に高齢者の年金はどのくらいが“普通”なのでしょうか?

配信日: 2025.06.15 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
「月6万円の年金じゃ暮らしていけない」と祖母が嘆いています。実際に高齢者の年金はどのくらいが“普通”なのでしょうか?
「うちのおばあちゃん、年金が月6万円くらいしかないんだよね」
 
そんな話を聞いたことはありませんか? あるいは、あなた自身の家族がそうかもしれません。高齢化が進む中、年金だけで生活できるのかという不安は、誰にとっても身近な問題です。
 
この記事では、「年金月6万円台って本当に少ないの? 」「みんなはどれくらいもらっているの? 」という疑問に答えながら、年金の仕組みや将来に向けた対策まで、わかりやすく丁寧に解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金月6万円台は本当に少ないのか?

総務省の家計調査や各種統計によれば、高齢単身者の平均的な消費支出は約13万円とされており、月6万円では半分にも満たないのが現実です。とはいえ、このような金額の方が珍しいわけではありません。
 
特に、自営業者や長年専業主婦だった方、非正規で働いていた方に多く見られます。つまり、祖母世代にとって「月6万円台」は、意外と“あるある”な年金額なのです。
 

年金の平均額はどれくらい? 国民年金と厚生年金の違い

年金には2つの柱があります。「国民年金」と「厚生年金」です。厚生労働省が公表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和5年度)によるとそれぞれの平均月額は以下のとおりです。
 

1.国民年金(老齢基礎年金)

・男性 5万9965円
 
・女性 5万5777円

 

2.厚生年金(会社員など)

・男性 16万6606円
 
・女性 10万7200円

つまり、会社員として厚生年金に加入していた人と、自営業や専業主婦などで国民年金のみの人では、男女差はあるものの、2~3倍の差があることがわかります。祖母が6万円台というのは、おそらく国民年金のみを受け取っているケース。これは制度上、決して珍しくなく、法律に基づいた支給額なのです。
 

なぜこんなに年金額に差が出るのか?

同じ「老後」なのに、どうしてこんなに受け取る額が違うの?と思う方も多いでしょう。
 
・納付期間の違い
 
年金は納めた年数で決まります。満額(老齢基礎年金)をもらうには、20歳から60歳までの40年間しっかり払っている必要があります。免除や未納が多いと、その分減額されます。
 
・年金の種類が違う
 
厚生年金は収入に応じた「報酬比例部分」が加わります。国民年金にはこれがないため、どうしても金額が抑えられます。
 
・繰上げ受給を選んだ場合
 
60歳~64歳で早く受け取り始めると、1カ月につき0.4%ずつ減額され、最大で24%減ります。結果的に、長い老後生活で受け取る年金総額も少なくなります。
 
このような仕組みを理解していないと、「なぜこんなに少ないの?」という疑問を持つのは自然なことです。
 

年金が少ないと感じたら、今からできる3つの対策

たとえ年金額が少ないとわかっても、悲観する必要はありません。以下のような対策で、備えられます。
 
・繰下げ受給を選ぶ
 
年金の受給を65歳より遅らせると、1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、最大で42%(70歳受給開始時)または84%(75歳受給開始時)まで増額できます。働けるうちは受給を遅らせるという選択も有効です。
 
・つみたてNISAで資産形成
 
少額でも、長期・分散・積立でコツコツと増やしていける制度。老後資金の“第二の柱”に。
 
・高齢者向け制度の活用
 
生活保護、高齢者向け住宅、医療費補助など、行政のサポート制度も確認しておくと安心です。
 

6万円でも「仕方ない」ではなく「備える」ことが大切

祖母の年金が6万円台だったとしても、それは制度上よくあること。しかし、それだけで安心できる生活を送るのは難しいのが現実です。
 
大切なのは、「少ないから無理」とあきらめることではなく、「今できることを知って、備える」こと。
 
年金制度はわかりにくく不安もありますが、仕組みを理解し、制度や制度外の備えを組み合わせれば、老後はもっと安心できるものになります。
 
今日この瞬間からでも遅くありません。自分や家族の未来のために、一歩を踏み出してみませんか?
 

出典

厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和5年度)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問