20歳になる前で、国民年金への加入義務がなく保険料を納めたことがない人の障害年金
配信日: 2019.04.11 更新日: 2019.06.18
受給のためにはこれらを満たす必要があることになりますが、20歳になる前で、国民年金への加入義務がなく保険料を納めたこともない人の場合はどうなるのでしょうか。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
国民年金加入義務がない20歳未満の人
障害年金を受給するためには、障害の原因となる病気やケガについて初めて医師の診療を受けた日、つまり初診日を特定し、その初診日から見た年金保険料の納付要件を満たす必要があります。
過去に保険料を納付した月や免除を受けた月が一定期間なければ受給できないことになります。
しかし、国民年金に加入義務があるのは20歳から60歳までです。高校を卒業して働き始めた人(18歳で厚生年金被保険者・国民年金第2号被保険者になった人)などは別として、20歳前の人は年金制度への加入期間(被保険者期間)はなく、保険料を納めた期間もないことになります。
一方、障害は、先天性の障害を含め、年金制度に加入していない20歳前に初診日がある場合もあることでしょう。
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20歳前に初診日がある場合の年金受給
このような年金制度に加入していない、20歳前での障害の場合についても、年金制度上の障害等級1級あるいは2級に該当すれば、障害基礎年金が受給できることになっています。
初診日から原則1年6カ月経過した日(障害認定日)時点で障害等級に該当することで年金の受給が可能になりますが、障害認定日が20歳前であれば20歳(20歳の誕生日の前日)の翌月分から、20歳以降であれば障害認定日の翌月分から年金の受給が始まります(【図表1】)。
先天性の障害であれば、出生日が初診日とみなされることがありますが、生まれた日の1年6カ月経過後はまだ20歳ではありませんので、20歳になった月の翌月分から年金が支給されることになります。
なお、この20歳前障害の場合、障害年金は国民年金制度の障害基礎年金のみで、厚生年金保険制度からの障害厚生年金はありません。
年金の額
20歳前障害の場合、障害基礎年金の額は、年金制度加入者で保険料納付実績のある人の障害基礎年金の場合と同じ額となり、障害等級1級の場合は975,125円、障害等級2級の場合は780,100円になります(いずれも平成31年度の年額)。
受給する人に生計を維持する18歳年度末までの子、あるいは一定の障害(年金制度上の障害等級1級・2級)のある20歳未満の子がいれば年金に加算がされ、子が2人目までは1人につき224,500円、3人目以降は1人につき74,800円が加算されます(いずれも平成31年度の年額)。
一定の場合は受給には制限がある!
ただし、この20歳前障害での障害基礎年金の場合、年金保険料を納めたことがなく受給できる代わりに独自の受給の制約があります。
(1)一定の所得があるとき、(2)労災保険制度等から年金が受けられるとき、(3)日本国内に住所がないとき、(4)刑事施設に入っているとき(未決拘留の場合を除く)や少年院に入っているときは年金の支給が停止されます。
(1)の所得による制限については、【図表2】の所得基準を超えると年金の2分の1または全部が8月分から翌年7月分まで支給がされなくなります。
その他、年金加入期間・保険料納付実績のある人の障害基礎年金の場合と同じように、障害等級に該当しなくなった場合も、その間年金の支給は停止されるでしょう。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー