親が亡くなったときに、子供が行うべき年金に関する手続きを解説
配信日: 2019.05.06 更新日: 2019.06.12
これらの手続きを行うことにより、未支給の年金を受け取れたり、条件が整えば遺族年金などを受給できることがありますので、忘れずにしましょう。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
目次
亡くなった親が年金を受給していた場合は死亡届を提出し、未支給年金を請求する
年金を受給していた親が亡くなったときには、「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。
年金を受けていた親が亡くなったときに、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振り込まれた年金の内、亡くなった月分までの年金は「未支給年金」とされます。
未支給年金は、亡くなったものと生計を同じくしていた遺族が受け取ることが可能です。具体的には、年金を受けていた者が亡くなった当時、その者と生計を同じくしていた以下の人になります。
(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹、(7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族。
(1)~(7)の順で、順位が最も高い遺族が受け取ることができます。
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18歳の年度末までの子は遺族基礎年金や遺族厚生年金を受給できることも
親が亡くなった場合、子は遺族基礎年金や遺族厚生年金を受給できることもあります。
■遺族基礎年金を受給できる要件
亡くなった親が受給要件を満たしている場合、その者によって生計を維持されていた未婚の子(18歳になった年度の3月31日までの間にあること)。または、20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある未婚の子は、遺族基礎年金を受け取ることができます。
なお、亡くなった親に配偶者がいる場合は、配偶者が遺族基礎年金を受け取ります。
■遺族厚生年金を受給できる要件
亡くなった親が会社員や公務員などで、厚生年金や旧共済年金に加入しており、受給要件を満たしている場合。その者によって生計を維持されていた、18歳になった年度の3月31日までの間にある子、または20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子は、遺族厚生年金を受け取ることができます。
なお、亡くなった親に配偶者がいる場合は、配偶者が遺族基礎年金と合わせて遺族厚生年金を受け取ります。
亡くなった親が国民年金の第1号被保険者なら死亡一時金を請求する
亡くなった親が自営業や農業などで、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある場合。老齢基礎年金や障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、亡くなった者と生計を同じくしていた遺族が死亡一時金を受け取ることができます。
ただし、遺族が遺族基礎年金や寡婦年金を受けることができる場合は死亡一時金を受け取ることはできません。
死亡一時金を受け取ることができる遺族は、年金を受けていた者が亡くなった当時、その者と生計を同じくしていた(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹で、(1)~(6)の順で順位が最も高い者になります。
年金に関する届け出・請求先は? 提出書類は?
これらの年金に関する各種届け出や請求先は、日本年金機構の最寄りの年金事務所、または街角の年金相談センターになります。
また、亡くなった親が自営業や農業などで、国民年金の第1号被保険者であった場合には、親が居住していた市町村役場になります。
年金に関する届け出や請求をする場合は、届出書や請求書に加えて以下の書類が必要になります。
まとめ
老齢年金や障害年金を受給していた親が亡くなり、市町村役場に死亡届を提出する際には、年金に関する手続きについても確認しましょう。
未支給年金や死亡一時金を受け取ることができる場合は、必要書類をそろえましょう。
また、18歳になった年度の3月31日までの間にある子供であるなど、一定の要件がそろう場合は遺族年金を請求することができますので、市町村役場や年金事務所などで忘れずに手続きしてください。
出典
(※1)日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
(※2)日本年金機構「死亡一時金を受け取るとき」
(※3)日本年金機構「遺族基礎年金を受けられるとき」
(※4)日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士