夫が63歳の「年金受給前」に死亡。2年後に年金を「月20万円」受給予定だったけど、妻は“遺族年金”を受け取れる? 受給要件・金額をシミュレーション
しかし、退職して厚生年金にも加入しておらず、年金を受け取る前に亡くなった場合、遺族年金は支給されるのでしょうか?
本記事では遺族年金の受給要件や金額を紹介し、退職後の年金受給開始前に亡くなった場合に遺族年金が支給されるか? について解説します。
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年金受給前の63歳で亡くなっても遺族年金は発生する?
遺族厚生年金の受給要件は以下のようになっています。
・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている人が死亡したとき
・老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき*
・老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき*
※保険料納付済・免除・合算対象期間が25年以上の人に限る
年金受給開始前に退職して、厚生年金に加入していない63歳でも、保険料納付済期間・免除期間・合算対象期間が25年以上あり、そのほかの要件を満たせば、配偶者に遺族厚生年金が支給されます。
また、子(18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)がいる場合は、遺族基礎年金も受給できます。
妻が受給できる遺族厚生年金の金額は126万円
65歳から受給する年金額が月20万円(国民年金6万円、厚生年金14万円)だった場合、遺族厚生年金の金額はどの程度になるのでしょうか?
配偶者が65歳未満の場合、遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となりますので、報酬比例部分が月額14万円だった場合、月額10万5000円(年間126万円)となります。
この遺族厚生年金は妻が再婚などしなければ、妻が亡くなるまで支給されます。さらに妻が要件を満たす40歳以上65歳未満の間は、中高齢の寡婦加算(2025年度の金額は年間62万3800円)も支給されます。
そして65歳以降は生年月日に応じて経過的寡婦加算(昭和31年4月1日以前生まれの妻に限る)が支給される場合があります。しかし、妻はこの遺族厚生年金を必ず全額受給できるわけではありません。
妻の老齢厚生年金が多いと遺族厚生年金は減額となる
まず妻が65歳未満の場合、遺族厚生年金を受給できますが、自身の特別支給の老齢厚生年金などのほかの年金を受給できる権利がある場合はどちらか一方を選択することになります。
また、65歳以降は遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある人は、自身の老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります。
つまり遺族厚生年金を受給できる妻自身の老齢厚生年金が月額5万円だった場合、5万円が支給停止となり、遺族厚生年金額は10万5000円-5万円=5万5000円となります(妻自身の老齢厚生年金5万円は受給できます)。
そのため妻自身の老齢厚生年金が遺族厚生年金よりも多い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
まとめ
60歳で会社を定年退職し、年金受給開始前の63歳で亡くなった場合でも、保険料納付済期間などが25年以上あり、そのほかの要件を満たしていれば、配偶者に遺族厚生年金が支給されます。妻が受給できる遺族年金は遺族基礎年金の支給要件に該当する子がいない場合は遺族厚生年金のみで、金額は人によって違います。
さらに遺族厚生年金は、65歳以降、妻自身の老齢厚生年金分は支給停止となりますので、注意が必要です。
出典
日本年金機構 遺族年金ガイド 令和7年度版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
