定年後の夫の給与は「月収40万円」程度だそうです。これくらいなら年金は満額受け取れますよね?

配信日: 2025.07.23 更新日: 2025.10.21
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定年後の夫の給与は「月収40万円」程度だそうです。これくらいなら年金は満額受け取れますよね?
定年後も働きたいと考えている人もいるでしょう。もし定年後も働くときは、年金を受け取りながら働くのか、退職してから受け取るのかを決める必要があります。働きながら年金を受け取る場合は、一部または全部が支給停止となる場合があるので、条件を理解しておきましょう。
 
今回は、働きながら年金を受け取るときに支給停止になる条件や、65歳以降も厚生年金に加入するメリットなどについてご紹介します。
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在職老齢年金は給料と老齢厚生年金額の合計によって決まる

働いて給料を受け取りながら年金も受け取る場合、在職老齢年金と呼ばれます。在職老齢年金は、老齢厚生年金額に加え、「賞与含む給与の月額」によっては一部支給停止される可能性がある年金です。
 
日本年金機構によると、「賞与含む給与の月額+老齢厚生年金」が51万円(令和7年度の支給停止調整額)を超えると一部または全部が支給停止の対象になります。定年後の賞与を含む給料が月40万円だった場合、老齢厚生年金が月11万円より多ければ全額受け取れなくなるでしょう。
 
厚生労働省年金局が公表している「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末時点の年金平均受給額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて月に14万7360円でした。また、日本年金機構によれば、令和5年度の老齢基礎年金額は満額の場合で月に6万6250円です。
 
仮に令和5年度で老齢基礎年金を満額受給しており、平均額と同じだけ老齢厚生年金も受け取っていたとすると、老齢厚生年金額は月に8万1110円です。月収が40万円であっても、令和5年時点での平均額と同じであれば、受給できる年金額が減ることはないでしょう。
 

支給停止になった場合の計算方法

日本年金機構によると、在職老齢年金により受け取れる金額は「基本月額-(基本月額+該当月の標準報酬月額+該当月より1年前までの標準賞与合計額÷12-51万円)÷2」で求められます。
 
基本月額とは、加給年金を除いた実質的な老齢厚生年金の月額です。また、標準報酬月額は、税金が引かれる前の各種手当も含めた月の給料を一定の金額ごとに区分した報酬月額に当てはめた数値を指します。
 
以下の条件で在職老齢年金として受給できる金額を求めましょう。

●老齢厚生年金の月額が14万円
●標準報酬月額が41万円
●年間の標準賞与合計額は120万円

まず、基本月額は14万円です。また、標準賞与合計額を12で割ると10万円になります。これらを計算式に当てはめると「14万円-(14万円+41万円+10万円-51万円)÷2」です。計算すると、7万円になります。つまり、今回のケースでは、老齢厚生年金を満額受け取るときと比べて7万円少なくなるでしょう。
 

65歳以降も厚生年金保険に加入して働き続けるメリット

年金を受け取れるようになっても働き続けることにはメリットもあります。65歳以降も厚生年金保険に加入していると、在職定時改定により被保険者期間に加算されるため、受け取れる年金額が増えるでしょう。
 
在職定時改定は、毎年9月1日時点に、前年の9月から直前の8月までの厚生年金保険加入期間を反映して、10月分から年金額を改定する仕組みです。10月分とは12月に受け取る年金です。70歳になると、厚生年金保険からは脱退することになるので、在職定時改定は最大70歳までが対象です。
 

受給する老齢厚生年金額によっては一部支給停止される場合もある

働きながら受け取る在職老齢年金は、給料だけでなく老齢厚生年金の金額にもよって支給停止されるかどうかが変わります。令和7年度の場合、もし「賞与含む給与の月額+老齢厚生年金」が51万円よりも多くなると、受け取れる年金額は減少するでしょう。
 
ただし、65歳以降も厚生年金保険に加入して働き続けるメリットは、年金額自体が増える点です。70歳で厚生年金保険から脱退した時点でできるだけ多く年金を受け取りたい場合は、働きながら年金を受け取るのも、選択肢のひとつです。
 

出典

日本年金機構 年金Q&A(老齢厚生年金全般) 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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