父が年金の繰下げ受給待機中に急逝…増額されるはずの金額は「1円も」遺族が受け取る年金に反映されないの?

配信日: 2025.07.28 更新日: 2025.10.21
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父が年金の繰下げ受給待機中に急逝…増額されるはずの金額は「1円も」遺族が受け取る年金に反映されないの?
できるだけ老後の資金を増やしたいと、繰下げ受給を検討している人もいるかもしれません。しかし、繰下げ受給の待機中に亡くなると、繰り下げた分の金額は反映されないでしょう。繰下げ受給を選択するときや、繰下げ受給を家族が検討するときは、こうした点も理解しておく必要があります。
 
今回は、繰下げ受給待機中に亡くなった場合に遺族が受け取れる「未支給年金」の年金額や、申請方法などについて紹介します。
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繰下げ受給待機中に死亡すると遺族が受け取れる「未支給年金」の年金額はいくら?

繰下げ受給の待機中に亡くなると、遺族は本人が受け取れなかった分の年金を受け取れることがあります。未支給年金と呼び、条件に該当する遺族が受け取れる年金です。ただし、繰下げ受給をしていても、増額した分の金額は受け取れません。
 
そもそも、繰下げ受給とは本来年金の受給が始まる65歳よりも、タイミングを遅らせて受け取り始めることで、遅くした月数分に応じて受け取れる年金額を増やせる制度です。1ヶ月遅くするごとに0.7%増加した年金額を受け取れます。
 
例えば、年金額が120万円の人が70歳まで繰下げ受給をした場合、42%増加した170万4000円を受け取れるでしょう。
 
しかし、繰り下げ待機中の人が70歳になり年金を受け取る前に亡くなったとします。すると、未支給年金には繰下げ受給の増額分が反映されないため、65歳時点の年金120万円を基に支給額が決定されます。
 
もし父親が71歳に年金を受け取るつもりで70歳に亡くなったとすると、該当する遺族は「120万円×5年」で600万円の未支給年金を請求できるでしょう。繰下げ受給を選択するときには、もし自身が想定より早く亡くなったときに遺族は65歳時点の金額しか受け取れない点を理解しておくことが大切です。
 

未支給年金を受け取れる遺族

日本年金機構によれば、未支給年金を受け取れるのは、当時、亡くなった本人と生計を同じくしていた遺族かつ、以下の優先順位に該当している人です。

(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
(7)上記に該当しない3親等内の親族

自身より上の順位の対象となる遺族がいる場合、自身は未支給年金を受け取れません。例えば、父親が亡くなったときに父親と同一生計の母親は健在であれば、未支給年金を受け取るのは母親です。
 
もし母親がすでに亡くなっている場合は、父親と同一生計の子が未支給年金を請求できます。
 

未支給年金の申請方法

父親が亡くなって未支給年金を申請する際は、受給権者死亡届と請求を同時に行います。まずは以下の書類を用意しましょう。

●父親の年金証書
●父親が亡くなったことを証明できる書類(戸籍抄本や住民票除票など)
●請求する人と父親の続柄が分かる書類(戸籍謄本や法定相続情報一覧図の写しなど)
●請求する人と父親が生計を同じくしていたことが分かる書類
●未支給年金を受け取りたい金融機関の通帳

戸籍謄本や住民票などは父親が亡くなった日以降のものが必要です。また、請求する人物が配偶者や遺族年金を請求する子であれば、マイナンバーを記入すれば戸籍謄本は必要ありません。
 
請求書とともに必要な書類をそろえたら、年金事務所や年金相談センターへ提出しましょう。
 
なお、未支給年金はできるだけ早く申請する必要があります。申請が遅れると年金を多く受け取りすぎることとなり、あとから過払い分を返還しなければならない場合があるためです。
 

未支給年金に繰り下げ分は反映されない

老後の資金を増やすためにと繰下げ受給を選択していても、年金を実際に受け取り始める前に亡くなると、繰下げ受給の増額分は遺族が請求できる未支給年金額に反映されません。
 
今回のケースだと、もし70歳で受け取り始めていれば年金額は170万4000円ですが、70歳で受け取らずに亡くなると、対象となる遺族は当初の「120万円×5年」の金額を受け取ることになります。
 
なお、未支給年金の請求はできるだけ早く行うようにしましょう。父親が亡くなってからすぐに行うことで、年金の過払いや、過払いによる年金の返還の手間がなくなります。
 

出典

日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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