60歳で退職し、再就職しない予定ですが、妻から「繰下げ受給をしてほしい」といわれました。もらえる額は増えますが、貯金は300万円しかないのに生活できるでしょうか…?

配信日: 2025.08.30 更新日: 2025.10.21
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60歳で退職し、再就職しない予定ですが、妻から「繰下げ受給をしてほしい」といわれました。もらえる額は増えますが、貯金は300万円しかないのに生活できるでしょうか…?
繰下げ受給を選べば、確かに受給される年金の額は増えますが、貯金が300万円しかない状況で生活が成り立つのか、心配になることもあるでしょう。
 
本記事では、年金の繰下げ受給の仕組みやメリット・デメリットを解説するとともに、貯金300万円で繰下げ期間をどう乗り切るか、生活費の見直しや収入の確保方法についても紹介します。将来の生活を安定させるための参考にしてみてください。
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年金の繰下げ受給とは?

年金は、通常65歳から受け取ることが可能です。しかし、65歳からもらい始めずに、66歳以降~75歳までの間で受け取りを遅らせられるのが「繰下げ受給」です。
 
繰下げ受給を選ぶと、受け取り始める年齢が遅くなる分だけ、毎月もらえる年金額が増えます。
 
日本年金機構によると、75歳(最大)まで繰下げを行うことで84.0%もの増額になるということです。一度繰下げをして増えた金額は、その後ずっと変わらずに受け取れるため、長く安定した収入が期待できるでしょう。
 

繰下げ受給を利用するメリット

年金の繰下げで一番うれしいポイントは、もらえる年金の金額が増えることです。特に長生きすればするほど、合計でもらえる年金の総額も多くなります。
 
例えば、65歳から年金をもらい始める代わりに、70歳まで繰下げると、夫婦分の毎月の受給額が10万円以上アップするケースもあります。これは生活にゆとりをもたらす大きなメリットです。
 
繰下げを選ばない場合や、逆に早めにもらう「繰上げ受給」と比べても、長期的に見れば受給額が増えるので、将来の安心につながるでしょう。
 

繰下げ受給を利用するデメリット

もし長生きできなかった場合は、早く年金をもらい始めたほうが合計でもらえるお金が多くなることがあります。つまり、繰下げを選ぶことで、総受給額が少なくなるリスクもあるということです。
 
また、年金が増えることで、社会保険料や所得税、住民税などの負担が増える可能性もあります。これらは年金から自動的に差し引かれるため、実際に手元に残るお金がどれくらいか、事前に計算しておくことが大切です。
 
また、年金の繰下げをすると、本来加給年金を受け取れる期間が過ぎてしまい、加給年金がもらえなくなることがあります。しかも、繰下げで増える年金には加給年金分は含まれません。
 

貯金300万円で生活できるのか?

60歳で定年を迎え、年金の受給を繰下げる場合、受給開始までの間は年金が入らず、貯金やほかの収入で生活費をまかなう必要があります。しかし、貯金が300万円しかないとなると、本当に生活できるのか不安に感じる方も多いでしょう。
 
ここでは、繰下げ期間中の生活費の見直しや、資金をどう確保していくかについて考えてみます。
 

生活費の見直しが必要

定年退職した夫婦2人の1ヶ月の生活費は23万円ほどといわれています。
 
もし60歳で定年退職し、年金の受給を70歳まで繰下げた場合は、10年間もの間、年金なしで生活しなければなりません。さらに、75歳まで繰下げると15年間になります。
 
これを踏まえ、生活費を計算してみましょう。
 

・10年間の場合:23万円×12ヶ月×10年=約2760万円
・15年間の場合:23万円×12ヶ月×15年=約4140万円

 
手元の貯金が300万円しかない場合、この金額では生活費をまかなうのは大変難しい状況です。したがって、生活費の見直しや、別の収入源の確保が必要になるでしょう。
 

繰下げ期間の生活費の確保方法

年金の受給を繰下げる期間中の生活費を確保するために、一つの方法として定年後も働き続けることがあります。
 
ただし、定年後の給料は現役時代よりも低くなることが一般的です。また、働き続けられるかどうかは会社の制度や環境によって異なり、場合によっては転職やアルバイトを選ぶ方もいます。
 
そのため、繰下げ受給を考えている場合は、まず今の会社で定年後も働けるのか、どのくらいの給料が見込めるのかをしっかり確認しておくことが大切です。
 

貯金300万円での繰下げ受給は収入確保を踏まえて判断しよう

年金の繰下げ受給は、もらい始めを遅らせることで毎月の年金が増えるメリットがあります。一方で、長生きしなければ総受給額が減るリスクや、税金や保険料が増えることもあるでしょう。
 
貯金が300万円しかない場合、繰下げ期間の生活費をどうやってまかなうかがとても大切です。生活費の見直しや働き続けるなど、収入面の工夫が必要不可欠となります。
 
繰下げ受給を選ぶときは、メリットとデメリットをよく理解し、自分の状況に合わせて選択しましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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