52歳で届いたねんきん定期便によると、将来の年金額は「月15万円」でした。同い年の同僚は「月20万円」だそうですが、どちらが平均に近いのでしょうか?

配信日: 2025.09.24 更新日: 2025.10.21
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52歳で届いたねんきん定期便によると、将来の年金額は「月15万円」でした。同い年の同僚は「月20万円」だそうですが、どちらが平均に近いのでしょうか?
年に一度届く「ねんきん定期便」では、その時点のデータを基に将来受け取れると見込まれる年金額が記載されています。自分のものと知人のねんきん定期便を比較した際、知人の年金額の方が高かったという経験がある人もいるでしょう。
 
今回は、年金の平均受給額や年金額の決まり方、老後の年金額を増やす方法などについてご紹介します。
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年金の平均受給額はいくら?

厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末時点での平均年金月額は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計して14万6429円でした。月15万円であれば平均とおおよそ同じ、月20万円なら平均よりも5万円以上多いといえます。
 
ただし、将来受け取れる金額を比較したい場合は、平均額だけでなく金額ごとの受け取っている人数の割合なども確認しておくとよいでしょう。平均だけでは、その金額を受け取っている人が多いのか、一部の極端な数値に左右されているのか判断できないためです。
 
同資料によると、年金月額の金額別に受け取っている人数を見た場合、人数の多い上位5つの年金月額は以下のようになります。なお、以下のデータは男女を区別しない、受給権者全体の統計データです。

1位:月10万円以上11万円未満
 
2位:月9万円以上10万円未満
 
3位:月11万円以上12万円未満
 
4位:月17万円以上18万円未満
 
5位:月16万円以上17万円未満

結果を見ると、上位3つは月10万円前後です。つまり、年金を受け取っている金額の割合から考えると、月15万円でも多い方だといえるでしょう。
 

年金額の決まり方

公的年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金で構成されています。
 
老齢基礎年金は、国民年金保険料を欠かさず納めていれば満額を受け取れます。日本年金機構によると、令和7年度の満額は、年間83万1700円です。
 
一方、老齢厚生年金の基本的な金額は報酬比例部分を求めることで分かります。同じく日本年金機構によれば、平成15年4月以降に厚生年金保険に加入した場合、報酬比例部分の計算式は「平均標準報酬額×0.005481×厚生年金保険の加入月数」です。
 
平均標準報酬額は、期間内の標準報酬月額と標準賞与額の総額の平均値を指します。また、標準報酬月額は税金が引かれる前の給料を一定金額ごとに区分した報酬月額を基に定められた金額、標準賞与額は税金が引かれる前の1000円未満を切り捨てたボーナス額(上限150万円)です。
 
つまり、報酬比例部分は収入と厚生年金保険への加入期間に応じて変動します。
 
例えば、平均標準報酬額が35万円、加入期間が20~60歳の40年(480ヶ月)だったとすると、報酬比例部分は「35万円×0.005481×480ヶ月」で92万808円です。老齢基礎年金額と合計すると175万2508円、月額で約14万6042円になります。
 
しかし、加入期間が20~65歳の45年間でほかの条件は同じだとすると、報酬比例部分の金額は「35万円×0.005481×540ヶ月」となり103万5909円です。老齢基礎年金額と合計すると186万7609円、月額約15万5634円になります。
 
50代の時点で受け取る「ねんきん定期便」に記載されている年金額は、その時点での加入実績に基づいて算出されています。そのため、将来さらに厚生年金保険に加入し続けることで、年金額は増加する可能性があるでしょう。
 

年金額を増やす方法

老後の年金額を増やすには、収入を増やすほかに厚生年金の加入期間を長くする方法があります。さらに年金額を増やしたい場合は「年金の繰下げ受給」も選択肢のひとつです。
 
年金の繰下げ受給とは、本来65歳から受け取れる年金の受給開始時期を後ろにずらすことで、その遅らせた月数に応じて年金額が増加する制度です。1ヶ月につき0.7%増加し、最大75歳まで遅らせることで84%増加した年金を受け取れます。
 
ただし、繰下げ受給の待機期間中は年金が支給されないため、生活費は貯金や給与に頼る必要があります。退職時期や貯蓄状況に応じて、いつまで繰り下げるか慎重に検討しましょう。
 

年金額「月15万円」の方が平均額に近い

厚生労働省年金局の資料によると、令和5年度末時点での年金月額は平均で14万6429円でした。平均額と比較すると、年金額が月20万円より月15万円の方が近いといえます。
 
しかし、受け取っている金額の割合で見ると、上位3つは月10万円前後です。月15万円を受け取っている人は、全体から見ると多い方に入るといえるでしょう。
 
年金額を増やしたい場合は、収入を増やすことや、厚生年金への加入期間を延ばすことに加えて、繰下げ受給を使う方法もあります。自分の貯金状況やいつまで働きたいかなどに応じて、実行しやすい方法を検討しましょう。
 

出典

厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 (参考資料3)厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(26ページ)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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