52歳で亡くなった自営業の夫。厚生年金に入っていなかった場合、遺族年金はいくらになる?

配信日: 2025.11.30
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52歳で亡くなった自営業の夫。厚生年金に入っていなかった場合、遺族年金はいくらになる?
52歳で自営業の夫が亡くなった場合、厚生年金に加入していないと考えられるため、遺族として受け取れる公的年金は限定的になります。
 
遺族年金は「誰でも一定額を受け取れる制度」と誤解されやすいですが、実際は要件が厳しく、自営業世帯ではもらえないケースも珍しくありません。そこで本記事では、受給可能性のある年金の内容や金額の目安を解説します。
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自営業は遺族厚生年金の対象外。受け取れるのは3種類のみ

日本の年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」で構成されています。会社員や公務員のように厚生年金へ加入していれば、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も受給できますが、自営業者の多くは国民年金にしか加入しないため、厚生年金による遺族保障はありません。
 
そのため、厚生年金に加入していなかった夫が亡くなった場合に遺族が受け取れる可能性のある公的年金は、「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」の3種類が主なものになります。
 
どの給付が対象となるかは家族構成や保険料の納付状況により異なり、厚生年金に加入していた会社員などの家庭と比べると、公的な遺族保障は薄くなりやすい傾向があります。
 

遺族基礎年金は子どもの有無で大きく変わる

最も基本となる遺族基礎年金が支給されるのは、亡くなった人に生計を維持されていた配偶者で、かつ 18歳到達年度末まで(または障害年金の障害等級1~2級の状態にある20歳未満)の未婚の子どもがいる場合に支給されます。
 
そのため子どもがいなかったり、成人していたりする場合、妻だけでは遺族基礎年金は受給できません。つまり、子どものいない50代夫婦の場合は、遺族基礎年金が支給されない可能性があります。
 
支給される場合の金額(令和7年度)は年間83万1700円の基本額に、子どもの加算額として1人につき23万9300円(第2子まで)が上乗せされます。例えば妻と子ども2人が残された場合は、合計で年額131万300円になります。
 

子どもがいない場合は、寡婦年金または死亡一時金の対象に

子どもがいない家庭でも、条件を満たせば「寡婦年金」や「死亡一時金」の給付を受けられる可能性があります。
 
寡婦年金は、亡くなった夫が国民年金保険料を10年以上納め(保険料免除期間を含む)、かつ妻が夫と10年以上継続して婚姻関係(事実婚も含む)にあり生計を維持されていた場合に、妻が60~65歳の間受け取れる年金です。
 
金額は夫の老齢基礎年金の4分の3程度が目安となります。ただし、結婚期間や納付期間など複数の要件があり、誰もが必ず受給できるわけではありません。
 
死亡一時金は、夫の国民年金保険料を36ヶ月以上納付していた場合に、一度だけ支給される給付金です。金額は納付期間に応じて12~32万円程度で、付加保険料を36ヶ月以上納めていた場合は8500円が加算されます。
 
なお、遺族基礎年金や寡婦年金の受給が可能な場合は死亡一時金との併給ができないため、いずれか一方を選択しなければなりません。また、死亡一時金は規模の小さい給付であり、継続的な生活費を支えるには十分ではないことに留意が必要です。
 

公的保障だけでは不足しやすい。自営業世帯は早めの備えが必要

自営業者は厚生年金に加入していないため、会社員世帯に比べ遺族保障が大幅に少なくなりやすいです。特に、子どもがいない場合は遺族基礎年金の対象外となり、受け取れる公的給付が寡婦年金や死亡一時金などの限定的なものにとどまる場合があります。
 
生活費や教育費、住宅ローンといった実際の支出を考慮すると、公的年金だけで遺族の生活を支えるのは難しいケースが多く、早めに不足分を補う対策が必要です。また、自営業世帯は収入が不安定になりやすいため、万一の際に備えたリスク管理や資金準備が重要とされています。
 

遺族保障の不足を補う準備を早めに始めよう

厚生年金に加入していなかった自営業の夫が亡くなった場合、遺族が受け取れる公的年金は、「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」など限られた制度にとどまります。特に、子どもがいない場合は遺族基礎年金が支給されないため、給付額は大幅に減ります。
 
公的保障には限界があるため、生活費や将来の支出を踏まえ、民間保険の活用や資金計画の見直しなど、早めの備えを進めることが大切です。
 
家族の生活を守るためには、制度をただしく理解し、不足する部分を補う対策を講じることが欠かせません。家族の安心のためにも、できることから一つずつ始めていきましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 死亡一時金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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