浪人中の息子に年金の「納付書」が届きました。夫は「収入がないし支払わなくていい」と言いますが、大丈夫でしょうか?

配信日: 2025.12.05
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浪人中の息子に年金の「納付書」が届きました。夫は「収入がないし支払わなくていい」と言いますが、大丈夫でしょうか?
子どもが20歳を迎えると、日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ」とともに、国民年金保険料の「納付書」が送られてきます。
 
しかし、大学に進学前の浪人中や、予備校に通っているだけで無収入の状態であっても、納付は必要なのでしょうか。「払わなくても問題ない」という周囲の声を鵜呑みにする前に、制度の基本と選択肢を理解しておくことが大切です。
 
本記事では、浪人生にも届く国民年金保険料の納付書にどう対応すべきかを分かりやすく解説します。
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20歳になれば収入の有無にかかわらず「国民年金の被保険者」

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人は、国民年金に加入することが義務付けられています。20歳以上60歳未満の自営業者や学生、無職の方は「第1号被保険者」にあたり、国民年金保険料を納める必要があります。これは、収入のない浪人生であっても例外ではありません。
 
つまり、今回の事例のように、浪人中であっても20歳を迎えた段階で日本年金機構から納付書が届くのは制度上当然のことといえます。
 

「収入がないから払わなくていい」ではなく、正しく申請を

とはいえ、収入のない浪人生が月額1万7510円(令和7年度の国民年金保険料)を毎月支払うのは難しい場合もあるでしょう。そのようなときに利用できるのが、「国民年金保険料の免除制度」や「納付猶予制度」です。
 
納付猶予制度は、20歳以上50歳未満の方で、本人と配偶者の前年所得が一定額以下であれば、申請し承認されることで保険料の支払いが猶予される制度です。免除制度も同様に所得要件があり、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下であれば、申請が承認されることで保険料の全額または一部が免除される仕組みです。
 
ただし、これらの制度は「自動的に適用されるわけではなく、本人による申請が必要」です。納付書が届いても手続きをせずに放置すると未納扱いとなり、将来の年金受給資格や受給額に影響する恐れがあります。
 
例えば、未納期間が長いと老齢基礎年金の受給に必要な「受給資格期間(10年以上)」にカウントされず、将来年金がもらえなくなる可能性もあります。
 
また、国民年金保険料を支払う能力がありながら、日本年金機構からの納付勧奨や催告状、督促状を受けてもなお保険料を納付しない場合、最終的に財産の差し押さえなど強制徴収が行われる恐れもあります。収入がなく、保険料の支払いが困難なときは放置するのではなく、免除や納付猶予などの制度を正しく申請しましょう。
 

予備校生でも「学生納付特例制度」が適用できる可能性がある

一般的に大学や専門学校などに通う学生は、申請によって「学生納付特例制度」が適用できる場合があります。これは、所得の少ない学生を対象に保険料の納付を猶予する制度で、承認されれば保険料を納付しなくても将来の受給資格期間には影響しません。
 
では、浪人中で大学に在籍していない場合はこの制度は使えないのでしょうか。実は、在籍している予備校が「学校法人」や文部科学大臣の指定を受けた教育機関などであれば、学生納付特例制度の対象となるケースもあります。
 
もし浪人中で予備校に通っている場合、所属する予備校が対象校であるかどうか、日本年金機構または予備校に確認してみるとよいでしょう。
 
なお、前述の「免除・納付猶予制度」および「学生納付特例制度」はいずれも適用されると、保険料を全額納付した場合と比べて将来の年金額が低額となります。ただし、10年以内であれば「追納」することで老齢基礎年金を満額に近づけることができるため、経済的に余裕ができたときなどに検討するとよいでしょう。
 

まとめ

浪人生でも20歳を迎えたら原則として国民年金の被保険者として保険料の納付義務が発生します。収入がないからといって無視するのではなく、免除制度や納付猶予制度などを活用して正しく対応することが重要です。
 
また、在籍している予備校が対象校であれば、学生納付特例の申請が可能になる場合もあるため、確認しておく価値があります。
 
年金制度は将来の生活設計に直結する大切な仕組みです。親子で制度を正しく理解し、必要な手続きを早めに行うことで、将来の不安を減らしていくことにつながるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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