男性は「平均寿命80歳」なのに、年金を「70歳から受け取る」という父。10年ほどしか受け取れないなら“損”だと思うのですが、「繰下げ受給で増える」なら問題ないのでしょうか?

配信日: 2026.02.25
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男性は「平均寿命80歳」なのに、年金を「70歳から受け取る」という父。10年ほどしか受け取れないなら“損”だと思うのですが、「繰下げ受給で増える」なら問題ないのでしょうか?
「繰下げ受給で年金額が増える」とはいえ、やはり気になるのは受給期間の短さではないでしょうか。「男性の平均寿命は81歳前後。もし70歳から受け取り始めると、たった10年ほどしか受け取れないかもしれない。結局は損をしてしまうのでは?」父親が繰下げ受給をすると聞いて、このように不安を感じる人もいるでしょう。
 
しかし、年金制度における損得は単純な平均寿命との比較だけでは測れません。実は70歳時点での平均余命を考慮すると、受給開始を繰り下げるのは「長生きリスク」に備えるための合理的な選択といえるのです。
 
本記事では、平均寿命と平均余命の違いや、65歳時点の年金額が月15万円の場合の繰上げ受給・繰下げ受給の受給額について紹介します。
高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級

平均寿命と70歳時点の平均余命とは

「平均寿命81歳」という数字を聞くと、70歳から受給を開始した場合は残り10年程度しか受け取れないと考えがちです。しかし、平均寿命とはあくまで「0歳の赤ちゃんが平均して何歳まで生きられるか」を示した統計値に過ぎません。
 
実際のデータを見てみましょう。厚生労働省が公表した「令和6年簡易生命表」によれば、日本人男性の平均寿命は81.09歳です。一方、すでに70歳まで生存している男性の平均余命は15.60年となっています。
 
これを寿命に換算すると、70歳の人は平均して「約86歳(85.60歳)」まで生きる計算になります。つまり、「平均寿命の81歳で寿命を迎える」という前提よりも、5年ほど長く生きる可能性が高いと捉えて計画を立てるほうが現実的です。
 

65歳時点の年金額が月15万円の場合の繰上げ受給・繰下げ受給の受給額

受け取り開始年齢によって毎月の受給額がどれくらい変わるのか、具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。仮に、65歳から受け取れる年金額が月15万円(年額180万円)だったとします。
 
もし「70歳からの繰下げ受給」を選んだ場合、受給額は42%増額されます。月額は21万3000円(年額255万6000円)となり、65歳受給時に比べて毎月6万円以上も多く受け取れます。
 
一方、「60歳からの繰上げ受給」を選んだ場合はどうなるでしょうか。現在は1ヶ月早めるごとに0.4%減額される(※昭和37年4月2日以降生まれの場合)ため、60歳まで5年早めると24%の減額となり、月額は11万4000円(年額136万8000円)に減ってしまいます。
 

70歳まで繰下げ受給するより60歳で繰上げ受給するほうがお得?

早くもらい始めたほうが総額で得をするのか、それとも遅らせたほうがいいのか、いわゆる「損益分岐点」について解説します。65歳受給と70歳受給を比較した場合、一般的には約82歳になるまで生きれば、70歳から受給したほうが受取総額は多くなるとされています。
 
前述した通り70歳男性の平均的な寿命は86歳前後ですので、統計的には受給開始を繰り下げたほうがお得になる可能性が高いといえます。逆に60歳で繰上げ受給をした場合、81歳以上生きると、65歳から通常通り受け取った場合よりも総額が少なくなってしまう可能性があります。
 
もちろん、健康状態や貯蓄の有無によって最適な選択は変わりますが、長生きリスクへの備えという意味では、70歳開始の繰下げ受給は理にかなっているといえるでしょう。
 

まとめ

70歳時点での平均余命を考慮すると86歳頃まで生きる可能性が高く、82歳を超えれば繰下げ受給のほうが受取総額は多くなります。目先の受給期間だけでなく、長生きした際の経済的な安心を優先した賢明な判断といえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和6年簡易生命表の概況
 
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

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