60歳が近づき「年金をいつから受け取り始めるか」で悩みます。繰り上げれば早くもらえますが、金額は減ると聞きました。どのタイミングを選ぶのがいいのでしょうか?
それを受けて、「早くもらった方が得?」「長生きするなら待った方がいい?」このように迷うことはないでしょうか。今回は、年金における繰り上げ・繰下げ受給の仕組みと、現実的な選び方を整理します。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
繰上げ受給と繰下げ受給について
現在、年金は国民年金も厚生年金も、原則60歳から受給開始となっています。とはいえ、受給開始時期は年金額の増減を伴う形で次の3つの時期から選ぶことができるようになっています。
(1)年金が減額されても早期に受け取りたい場合:60〜64歳で受け取る(いわゆる繰上げ受給)
(2)原則の時期に受け取りたい場合:65歳で受け取る
(3)年金の受給時期を遅らせてでも増額をさせたい場合:66〜75歳で受け取る(いわゆる繰下げ受給)
上記のうち、(1)の繰上げ受給と(3)の繰下げ受給について補足しましょう。繰上げ受給は1ヶ月早めるごとに受給額が0.4%減額(最大24%減)となります。繰下げ受給の場合は1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額(最大84%増)となります。
もう少し進めて、具体的な金額で考えていきましょう。月額10万円の年金は65歳から受け取るとそのまま10万円です。
一方で、繰上げ受給を最大まで行い、60歳から受給すると毎月の支給額は2万4000円減額となり、7万6000円となるわけです。そして、繰り下げ受給を最大限まで行うと、8万4000円増加し、18万4000円もの額となるわけです。
受取額が最も多くなる受け取り方は?
年金の受け取り時期をいつにするかによって生涯での年金の受け取り額が大きく変わります。おそらく年金の受け取り時期で迷っている人の大多数がこの総受け取り額の問題でしょう。
例えば、月額10万円の年金を受け取っていた人が80歳で亡くなったとしましょう。この場合、60歳から受け取ると20年間での受取額は1824万円となります。対して75歳から受け取り始めると総受け取り額は5年間で1104万円となります。その差はなんと700万円です。
もし、年金の受け取り開始時期に悩む理由が生涯で受け取れる年金の額だとするのであれば、このように一度試算しておくようにしてください。
繰り下げと繰り上げ、どちらも決めかねるときは?
正直なところ、どれだけシミュレーションしたり、年金の仕組みを知っても、繰上げ受給も繰下げ受給も双方メリットとデメリットがあり、簡単には決められないでしょう。
この点、迷ったら原則通り65歳からの受給でよいでしょう。受給額が本来の額で受け取ることができ、良くも悪くも損得を考える必要がなくなります。
また、健康状態に不安があり、80歳以降まで長生きする自信がないという場合は、繰上げ受給で早めに年金の受け取りを開始してしまってもいいかもしれません。
逆に健康状態が良好で長生きする自信があれば、繰下げ受給を選ぶとよいでしょう。
まとめ
年金の受給開始時期に迷ったら、よほどお金に困っていない限り、原則通り65歳から受け取るのが無難です。
そこから一歩進み、より多く受け取りたい、生活をより楽にしたいと思うのであれば、資産や年金の受給額、老後の生活費を検討し、それに応じて繰上げ受給をするか、はたまた繰り下げるか、それとも原則通り65歳から受け取るのかを決めていくとよいでしょう。
年金の受給開始を一度決めてしまうと、変更をすることはできません。受給を決める際はよく考え、どうしても不安が残ったり決められないという場合は、専門家に相談することをおすすめいたします。
執筆者 : 柘植輝
行政書士