両親の年金は2人合わせて「9万円」ほどで、生活が苦しいと言っています。うちの両親の年金は特別少ないのでしょうか?
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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公的年金の平均受給額
まず、公的年金の平均受給額を確認しましょう。
厚生労働省の直近プレスリリースである「令和8年度 の年金額改定についてお知らせします」によると、老齢基礎年金は前年比1.9%増、老齢厚生年金は2.0%増となります。
具体的には老齢基礎年金(国民年金のみ満額)月額7万608円(前年比1300円アップ)、老齢厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)月額23万7279円(前年比4495円アップ)です。
厚生年金期間中心(20年以上)の男性では、月額17万6793円、国民年金期間中心(第1号被保険者期間20年以上)の男性の場合は月額6万3513円。
厚生年金中心(20年以上)の女性は、月額13万4640円、国民年金中心(第1号被保険者期間20年以上)の女性は月額6万1771円、第3号被保険者期間中心の女性は月額7万8249円となっています。
夫婦で9万円は平均と比べてどうか
仮にご両親がともに国民年金のみだった場合、平均的には1人あたり6万3513円および6万1771円、2人で約12万5000円です。これと比較すると、「2人で9万円」はやや少ない水準といえるでしょう。
なお、老齢基礎年金の満額(令和8年度改定)は月額7万608円です(昭和31年4月2日以降生まれの場合)。満額を受け取るには40年間の保険料納付が必要で、未納や免除期間があるとその分減額されます。したがって、夫婦2人で9万円という金額自体は制度上めずらしい水準ではありませんが、平均よりは低い可能性があります。
高齢夫婦世帯の生活実態
年金額だけでなく、生活全体の状況も見てみましょう。総務省統計局「家計調査(2025年)」によると、高齢夫婦無職世帯の実収入は月平均約26万円、そのうち社会保障給付(主に年金)が約20万円です。一方、消費支出は約27万円となっており、平均的に毎月数万円の赤字が生じている実態が浮き彫りになっています。
平均的な年金水準の世帯でも、貯蓄を取り崩しながら生活しているのが実情です。年金が主な収入源になると「思ったより厳しい」と感じるのは、多くの世帯に共通しています。
年金額だけで判断しないことが大切
「夫婦で9万円」は、厚生年金世帯の平均と比べれば大きく下回りますが、加入歴や納付状況によって個人差が大きいため、単純に「特別少ない」と断定はできません。また、持ち家か賃貸か、医療費負担、扶養の有無などによっても生活の厳しさは大きく変わります。
もし生活が厳しい場合は、住民税非課税世帯向け給付金、医療費の高額療養費制度、介護保険の負担軽減制度など、公的支援の活用も検討できます。まずは「年金振込通知書」や「ねんきん定期便」で内訳を確認し、必要に応じて自治体の窓口などで相談することが大切です。
まとめ
ご両親の「2人で月9万円」は、国民年金のみ世帯の平均より低い可能性があります。ただし、未納期間などがあれば制度上は十分あり得る水準です。
また、統計上からも多くの高齢世帯では家計に余裕ない状態であることが確認できました。年金額だけに目を向けるのではなく、公的支援の活用も含めて、幅広く家計運営の可能性を探っていくことが求められます。
出典
厚生労働省 令和8年度の年金額改定についてお知らせします
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2025年 第1-1表
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者