学生時代の「年金2年分」が未納です。手取り19万円で“40万円”払っても、増えるのは「月3000円」と聞きました。余裕もないですし、払うほうが損ですよね? 追納で増える年金額を試算
中には、30歳になり親から「将来のために絶対に追納したほうが良い」などと言われても、生活が苦しくてなかなかできないという人もいるでしょう。
本記事では、2年間納めていなかった国民年金保険料を支払った際に増える年金額と、そのために必要な保険料の金額、追納の必要性などについて解説します。
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国民年金は20歳から加入義務が発生
国民年金は、原則として国内の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象です。20歳になっても大学生で収入が少ないといった場合には「学生納付特例制度」の利用で納付の猶予を受けられますが、社会人となった後にも大学生時代の国民年金保険料を納めていないと、その期間は将来の年金額に反映されません。
なお、「学生納付特例制度」を利用していた期間の保険料はあとから納付(追納)できます。ただ、追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の期間です。
2年分追納すると年金はいくら増える?
老齢基礎年金は、満額で83万1700円受け取れます(2025年度水準)。この金額は、40年(480月)国民年金保険料を納めた場合の金額です。
学生納付特例などで2年(24月)分が年金額に反映されていない場合、その分は
83万1700円×(24月/480月)=4万1585円
となります。
つまり、2年分を追納することで年間4万1585円、月額にすると3465円の年金が増える計算です。「たった3000円」と感じるかもしれませんが、これは生涯にわたって受け取る金額ですので、決して小さな金額とは言えません。
追納にかかる保険料はいくら?
2025年度の国民年金保険料は月額1万7510円です。そのため、2年分(24月)で支払う保険料は次の通りです。
1万7510円×24月=42万240円
そのため、追納でおおよそ「40万円」支払うことで、老後の年金は年間約4万円、月額にすると約3500円増えるということになります。
損益分岐点で見るとどうか?
それでは、追納で支払う約42万円は、何年で回収できるのでしょうか。支払う保険料と年金の増加分から回収できる年月を計算すると、回収までの期間は次の通りです。
42万240円÷4万1585円≒約10年
つまり、年金受給開始後およそ10年で、受給額が支払額を上回る計算です。仮に65歳から年金を受け取り、75歳を超えて受給すれば、それ以降はプラスになります。
厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳ですので、多くの人にとって回収できる可能性が高いと言えるでしょう。
追納しない場合のリスクは?
老齢基礎年金を受け取るには、原則10年以上(120月以上)の受給資格期間が必要です。学生時代に「学生納付特例制度」を申請していれば、その期間は受給資格期間に含まれます。
ただし、特例期間は保険料を納めたことにはならないため、追納しない限り年金額には反映されず、生涯減額されたままになります。
まとめ
学生納付特例制度で猶予されていた2年分の国民年金保険料を追納すると、将来の年金受給額が月額で3500円弱、年額で約4万円の増加が見込めます。そのために支払う国民年金保険料額は約42万円で、損益分岐点はおよそ10年です。(いずれも2025年度前提)
追納するかの判断は家計状況と将来設計次第ですが、少なくとも「意味がない」と断言できるものではありません。月収19万円で苦しい今と、65歳以降の安心のどちらを優先するか、数字をふまえて冷静に考えることが大切だと言えるでしょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など