がんを患っていた父が64歳で他界。「ねんきん定期便」を見ると“総額1000万円以上”の厚生年金を納めていたようですが、父の年金は無駄になってしまうのでしょうか…?
本記事では、厚生年金を納めていた人が亡くなった場合に、残された家族が受けられる可能性のある年金制度や確認しておきたいポイントについて解説します。
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目次
20歳から60歳まで働いた場合、保険料はトータルいくら払う?
厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額および標準賞与額に保険料率を乗じて計算され、事業主と被保険者で折半する仕組みです。現在、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。
20歳から60歳までの40年間厚生年金保険に加入し、仮に標準報酬月額が24万円で変わらない場合、全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」によると、折半した自己負担額は毎月2万1960円となり、480ヶ月(40年間)で約1054万円になります。
ただし、実際の年金納付額には個人差があります。正確な金額は、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」で確認可能です。
ねんきん定期便は、これまでの加入実績や保険料納付額などを通知するもので、日本年金機構によれば、50歳未満はこれまでの加入実績に応じた年金額、50歳以上は老齢年金の種類と見込額が記載されています。特定の年齢を除きハガキで送付されるため、手元の書類を確認するか、年金事務所へ照会して正確な数値を把握しましょう。
残された遺族は「遺族年金」を受け取れる可能性
今回のお父さまのように、厚生年金保険の被保険者や老齢厚生年金の受給権者であった方などが亡くなった場合、亡くなった方に生計を維持されていた遺族に「遺族厚生年金」が支給されることがあります。また、「遺族基礎年金」を受給できる場合はあわせて支給されます。
日本年金機構によると、遺族厚生年金の年金額は、亡くなった方の老齢厚生年金の「報酬比例部分」の4分の3が基本となります。
また、65歳以上で自身の老齢厚生年金を受け取る権利がある方が、配偶者の死亡により遺族厚生年金を受け取る場合は、「亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1と自身の老齢厚生年金の2分の1を合算した額」を比較し、高い方の金額が遺族厚生年金として支給されることになります。
このように、厚生年金で納めてきた保険料は、本人が受け取る老齢厚生年金だけでなく、万が一の場合には遺族厚生年金として家族の生活を支える仕組みにつながっています。
そのため、「ねんきん定期便」に記載されている納付額が大きいからといって、そのお金がすべて本人の年金として戻らなければ無駄になるというわけではありません。
国民年金の被保険者が亡くなった場合は「寡婦年金」や「死亡一時金」を受け取れるケースも
国民年金第1号被保険者として保険料を納めた夫が亡くなった後、残された妻が一定要件を満たしていれば「寡婦年金」が支給されます。
日本年金機構によれば、寡婦年金は「死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなった」場合、その夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、亡くなった当時その夫に生計を維持されていた妻に対し、60歳から65歳になるまでの期間支給されます。
また、亡くなる日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数が36ヶ月以上ある方が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らないまま亡くなった場合、その方と生計を同じくしていた遺族には「死亡一時金」が支給されることがあります。
いずれも遺族側で手続きが必要ですが、申請に時効が設けられている点や、該当内容によっては支給されないこともあるため、事前の確認が必要です。
まとめ
現役時代に納める保険料は、定年後の生活を支える年金給付につながります。ただし年金を受け取る前に、病気やけがで当人が他界し、妻や子どもが遺族として残された場合、要件を満たしていれば遺族年金が支給される場合があります。
遺族年金にはおもに遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、それぞれ受給要件があるため、受け取れるかどうかの確認が必要です。万が一の際は、要件や申請期限を確認するためにも、早めに年金事務所などへ相談しましょう。
出典
全国健康保険協会
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー