4月から「年金+給与」が“51万円”超えても大丈夫という夫。今まで「年金が減るから」と言っていましたが“年金のカット制度”は変わったのでしょうか? 基準額を確認

配信日: 2026.04.04
この記事は約 3 分で読めます。
4月から「年金+給与」が“51万円”超えても大丈夫という夫。今まで「年金が減るから」と言っていましたが“年金のカット制度”は変わったのでしょうか? 基準額を確認
老齢年金を受給している人が、同時に会社からも給与を受けている場合、年金と給与の合計額によっては、年金がカットされることがあります。
 
年金カットを避けるために、給与が多くならないよう気を遣って働く高年齢者も少なくないでしょう。
 
しかし、今春からその制度が改正されるのをご存じでしょうか。本記事では、年金カットに関係する「在職老齢年金」の制度と2026年春の制度改正について、事例を挙げながら紹介します。
橋本典子

特定社会保険労務士・FP1級技能士

年金カットの制度とは

老齢厚生年金を受給している人が、同時に厚生年金の被保険者でもある場合、年金と給与の合計が基準額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されます。
 
これが「在職老齢年金」の制度です。年金収入と給与収入の合計が一定以上の人には年金制度を支える側に回ってもらいたいとの考え方から、この制度があります。
 
なお、70歳になると厚生年金の被保険者ではなくなるため保険料負担はありませんが、被用者(厚生年金が適用される条件の労働者)として働く場合は、70歳未満と同様に在職老齢年金のしくみが適用されます。
 

年金の支給停止額

在職老齢年金制度による支給停止額(カットされる額)は、次の式により計算されます。
 
支給停止される額=(基本月額+総報酬月額相当額-基準額)÷2
 
「基本月額」とは、老齢厚生年金の1ヶ月分の受給額です。加給年金を含まない報酬比例部分の額をいいます。
 
「総報酬月額相当額」とは、その月の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の12分の1を合算した額です。「毎月の給与に過去1年の賞与(月割り)を加えた額」と考えると、分かりやすいでしょう。
 
なお、標準報酬月額も標準賞与額も、総支給額をもとに計算されます。手取り額ではないため、注意してください。そして「基準額」ですが、2025年の年金制度改正により、2026年4月から大きく引き上げられることになりました。
 

2026年4月からの制度

2026年3月までの老齢年金が支給停止される基準額は「51万円」です。年金月額と総報酬月額相当額の合計が51万円を超える人は、支給停止の対象とされています。しかし2026年4月からは、この基準額が「65万円」に引き上げられます。
 

制度改正前後の支給停止額

2026年4月の制度改正で、どのように支給停止額が変わるか具体的に見ていきましょう。
 

2026年4月からの計算例

次のような人を想定して計算してみましょう。


・基本月額:14万円
・総報酬月額相当額:41万円

2026年3月までは、月2万円の年金が停止される計算です。
 
(14万円+41万円-51万円)÷2=2万円
 
しかし、2026年4月以降、制度改正によりこの人は年金の停止がなくなります。
 
14万円+41万円-65万円<=0円
 

4月から年金を気にせず残業できる?

総報酬月額相当額の要素である標準報酬月額は、原則として4月~6月に支払われた給与を元に計算され、9月に改定されます。そのため、その時期に残業が多いと、その年度の標準報酬月額が上がり、結果として総報酬月額相当額も上がります。
 
しかし今回の改正は、支給停止される基準額の上昇が大きいため、残業などで総報酬月額相当額が上がっても、年金の支給停止に結びつかない人も増えるでしょう。
 
上記の人の場合、年金の基本月額が変わらなければ、総報酬月額相当額が10万円近く上がったとしても、年金が停止されない計算になります。残業代などで月収が上がっても年金が停止されず、手取りが増える可能性があるということです。
 

まとめ

平均寿命や健康寿命が延びる中、高齢になっても働き続けることを希望する人が増えています。今回の在職老齢年金制度の改正は、そうした高年齢者を応援するものと言われています。
 
会社の残業ルールや自身の健康状態など配慮すべき点もありますが、高年齢者が働きやすい社会が実現しつつあると言えるでしょう。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者 : 橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

  • line
  • hatebu
【PR】 yumobile
FF_お金にまつわる悩み・疑問