一人暮らしの父に久しぶりに会ったら「年金が振り込まれないから退職金で暮らしている」と。年金が振り込まれないことなんてあるのでしょうか?
今回のケースは、年金を受給するための手続きを忘れている可能性があるのですが、年金の受給の手続きは、いつ・どのように行うのか、手続きを忘れていた場合はどうなるのか、FPである筆者が解説します。
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
65歳からの年金受給手続き
実は、老齢基礎年金や老齢厚生年金をもらうためには手続きが必要です。受給権(受け取る権利)が生じたときに自動的に年金が始まるという仕組みではないのです。そこで、年金を受け取るまでの基本的な流れをご紹介します。
1. 自宅に「年金請求書」が届きます
・老齢年金受給開始年の誕生月の約3ヶ月前に「年金請求書」が届きます。
・日本年金機構または共済組合等から届きます。
2. 「年金請求書」と「添付資料」を提出します
・年金請求書の加入記録を確認して、必要事項を記入し添付資料を用意します。
・65歳になる誕生月の末日までに提出します。期日を過ぎると年金の支払いはいったん止まります。
・繰下げ受給を希望する場合には、そのための手続き(繰下げ請求)が必要になります。
・提出先は、年金事務所です。ただし、年金加入期間が国民年金(第1号被保険者)のみの方の場合は、お住まいの市(区)役所・町村役場です。
・年金の未加入期間が生じていないなど、一定の条件を満たしている方は電子申請も可能です。
3. 「年金証書」「年金決定通知書」が自宅に届きます
・日本年金機構から、「年金証書」「年金決定通知書」「案内リーフレット」等がご自宅に届きます。
・年金請求書を提出してから到着まで、1ヶ月程度が目安ですが、2ヶ月程度かかる場合もあります。
4. 年金の受け取り開始
・年金は受給権が発生した月の翌月分から受け取ることができます。
・「年金証書」の到着後、約1~2ヶ月後に、年金の受け取りが開始します。
・受け取り開始後は、偶数月の15日に前月と前々月の2ヶ月分の年金が振り込まれます。
・振込口座は、年金請求時に指定します。
繰下げ受給を希望する場合の手続き
66歳以降に受給時期を繰下げて、増額した年金の受け取りを希望する場合には以下の要領で手続きを行います。
【老齢基礎年金のみを繰下げる場合】
ご自宅に届いた年金請求書の「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」欄に○印を記入して提出
【老齢厚生年金のみを繰下げる場合】
ご自宅に届いた年金請求書の「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」欄に○印を記入して提出
【老齢基礎年金・老齢厚生年金の両方を繰下げる場合】
「年金請求書」の提出は不要です。ただし、「繰下げ請求書」を年金事務所に提出する必要があります。請求書は、年金事務所または日本年金機構ホームページで入手できます。
まとめ
年金を受け取れる権利があったとしても、年金請求の手続きをしなければ年金は振り込まれません。また請求手続きをしないままで過ごしてしますと、5年を過ぎた分の年金は時効により受け取れなくなってしまうことも考えられます。
自宅に「年金請求書」が到着したら、期日までに必ず所定の手続きをすることを忘れないようにしましょう。
出典
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和8年度版
日本年金機構 65歳以降に受け取る老齢年金
執筆者 : 仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント