年金「月18万円」で暮らしていた父が亡くなりました。母は「父の年金をそのまま引き継げる」と思っているようですが、本当に同じ額を受け取れるのでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
年金「月18万円」で暮らしていた父が亡くなりました。母は「父の年金をそのまま引き継げる」と思っているようですが、本当に同じ額を受け取れるのでしょうか?
夫が亡くなったあと、「これまで受け取っていた年金を妻がそのまま引き継げる」と考えている人もいるかもしれません。しかし、実際には亡くなった人の年金がそのまま支給されるわけではなく、条件に応じて「遺族年金」が支給される仕組みです。
 
そのため、夫が月18万円の年金を受け取っていたとしても、妻が同じ金額を受け取れるとは限りません。場合によっては受給額が大きく減ることもあります。
 
今回は、遺族年金の基本的な仕組みや、実際にどれくらい受け取れる可能性があるのかを、分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

「夫の年金をそのまま受け継ぐ」は基本的にできない

公的年金には、大きく分けて「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」があります。自営業の人などが中心となる国民年金に加え、会社員や公務員などは厚生年金にも加入しています。
 
今回のケースのように、夫が亡くなった場合、妻が受け取る可能性があるのは「遺族年金」です。これは、亡くなった人の年金をそのまま引き継ぐ制度ではありません。
 
特に会社員だった人の場合、遺族が受け取る可能性があるのは「遺族厚生年金」です。日本年金機構によると、遺族厚生年金の額は、亡くなった人の老齢厚生年金の「報酬比例部分」のおよそ4分の3です。つまり、夫が受け取っていた年金全額が支給されるわけではありません。
 
例えば、夫の年金月18万円のうち、
 

・老齢基礎年金:約7万円
・老齢厚生年金:約11万円

 
だった場合を考えてみましょう。
 
遺族厚生年金は、厚生年金部分をもとに計算されるため、11万円の4分の3程度が目安になります。単純計算では、月約8万円前後になる可能性があります。
 
さらに、妻自身の年金状況によっても受給額は変わります。そのため、「夫が月18万円だったから、妻も月18万円引き継げる」という理解は正しいとはいえないでしょう。
 

妻自身の年金があると調整されることもある

65歳以上の妻で、自身の老齢年金を受け取っている場合は、遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金の調整が行われます。
 
日本年金機構によると、65歳以上で遺族厚生年金と自身の老齢厚生年金の両方を受け取る権利がある場合、まず自分の老齢厚生年金が優先して支給され、そのうえで差額分の遺族厚生年金が支給される仕組みです。
 
例えば、妻自身が月10万円の年金を受け取っている場合、遺族厚生年金がそのまま上乗せされるとは限りません。「思ったより受給額が少ない」と感じるケースもあるため、事前に年金事務所などで試算しておくことが大切でしょう。
 
また、遺族年金には受給条件もあります。亡くなった人が一定期間保険料を納めていたことや、亡くなった人に生計を維持されていた一定の遺族であることなどの条件を満たす必要があります。
 

条件によっては加算がつくケースもある

遺族年金は減る場合ばかりではありません。条件によっては加算制度が適用されることもあります。
 
代表的なのが「中高齢寡婦加算」です。これは、40歳以上65歳未満の妻で、一定条件を満たす場合に加算される制度です。
 
日本年金機構によると、2026年度時点では年額63万円台が加算されます。月額にすると約5万円程度です。
 
例えば、子どもが独立していて遺族基礎年金を受け取れない場合でも、この加算によって生活費の不足を補える可能性があります。
 
ただし、誰でも受け取れるわけではありません。夫の厚生年金加入期間などにも条件があるため、詳細は個別確認が必要です。
 
また、18歳到達年度末までの子どもがいる場合は、「遺族基礎年金」が支給されるケースもあります。子どもの人数によって加算額が増えるため、子育て世帯では受給額が比較的大きくなる場合もあります。
 

まとめ

遺族年金は、亡くなった人の年金をそのまま受け継ぐ制度ではありません。実際には、亡くなった人の厚生年金部分をもとに計算され、妻自身の年金状況などによって金額が調整されます。
 
そのため、夫が月18万円の年金を受け取っていたとしても、妻が同額を受け取れるケースは多くありません。
 
一方で、中高齢寡婦加算や遺族基礎年金などが支給される場合もあり、家族構成や年齢によって受給額は大きく変わります。
 
年金制度は複雑ですが、知らないままだと「思っていた金額と違った」と困る可能性があります。将来の生活設計を考えるためにも、ねんきん定期便やねんきんネットを確認し、必要に応じて年金事務所へ相談してみると安心でしょう。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金の併給または選択
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu