専業主婦の母が「熟年離婚しても、お父さんの年金を“半分”もらえるから大丈夫」と言っています。本当にそんなにもらえるのでしょうか? 実際に受け取れる金額の目安をシミュレーション
今回は、年金分割制度の概要や、専業主婦だった場合に受け取れる年金額の目安などについてご紹介します。
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
年金分割制度とは
年金分割制度とは、離婚をしたときに一定条件を満たしていると、配偶者との婚姻期間中の厚生年金記録を元夫婦間で分割できる制度です。分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があり、それぞれで適用される条件が異なります。
ただし、どちらの分割でも、請求期限は原則として離婚をした翌日から5年(令和8年3月31日までの離婚であれば2年)までです。また、対象となるのは厚生年金のみで、基礎年金の記録は分割対象にならないため注意が必要でしょう。
合意分割
合意分割は、基本的には夫婦間の合意か裁判を通して分割割合を決めたうえで、元夫婦のどちらか、もしくは2人ともから請求があった際に利用できる制度です。
合意分割を利用する条件は、以下を満たしているときです。
・婚姻期間中に年金記録(標準報酬月額や標準賞与額の記録)がある
・元夫婦間で分割の割合についてすでに合意している、もしくは裁判の手続きで分割の割合を決めている
合意分割が適用されると、元夫婦の年金記録に基づいて決められた割合で標準報酬月額や標準賞与額が分配され、その記録から元夫婦の年金が計算されます。
なお、分割する内容を決めるためには、お互いの年金記録や婚姻期間の情報などが必要です。期限内であれば、どちらか、もしくは2人ともから請求することで、必要な情報が記載された「情報通知書」を送付してもらえます。情報通知書では対象期間や分割する割合の範囲などを確認できます。
3号分割
3号分割は、2008年4月1日以降に、国民年金第3号被保険者(厚生年金保険や共済組合などに加入している会社員、公務員に扶養されている)期間があった人が請求できる制度です。第3号被保険者期間中の、相手の年金記録を元夫婦で2分の1ずつ分けられます。
なお、合意分割の請求があった際、3号分割の条件も満たしていた場合は、どちらも請求があったと判断され、両方の分割が適用されます。
実際に受け取れるのはいくらくらい?
今回は、次の条件で専業主婦と夫が離婚した際の、分割後の老齢厚生年金額の目安を計算しましょう。
・25~55歳まで結婚生活を送り、離婚
・夫の平均標準報酬額は35万円とする
・平均標準報酬額×30年分を婚姻期間の総報酬額とする
・夫は厚生年金保険へ平成15年4月以降に加入
・妻は婚姻期間すべてで専業主婦だった
・3号分割のみを適用
・婚姻期間すべてが3号分割の対象期間だったものとして計算する
平均標準報酬額とは、標準報酬月額と標準賞与額の総額を、厚生年金保険の加入期間で割った金額です。老齢厚生年金の計算で用いられます。
標準報酬月額とは、税金が引かれる前の給料を一定金額ごとに区分した報酬月額に当てはめて決まる金額を指します。また、標準賞与額とは、税金が引かれる前の賞与から1000円未満を切り捨てた金額(支給1回当たり上限150万円、同月に2回以上のときは合算)です。
今回の条件では、標準報酬額の合計は「35万円×12ヶ月×30年」で1億2600万円です。3号分割では年金記録を2分の1ずつにするため、夫と妻で6300万円ずつの総報酬額になります。
平成15年4月以降に厚生年金保険に加入している場合、老齢厚生年金を計算する際の給付乗率は0.5481%です。そのため、専業主婦だった妻が受け取れる老齢厚生年金額の目安は、「6300万円×0.5481%」で年間34万5303円になります。
年金分割では一定条件を満たすと夫婦の年金記録を分けられる
離婚時の年金分割制度では、一定条件を満たすことで、元夫婦の厚生年金に関する年金記録を分割できます。専業主婦の場合、自分で厚生年金に加入していないため、基本的には3号分割で夫の厚生年金記録のうち、対象期間分を夫婦で半分ずつ受け取ることになるでしょう。
ただし、共働き期間があった場合などは、2人ともの年金記録を基に合意分割も適用して分割できるため、必ずしも半分になるとは限りません。合意分割で分ける場合は、情報通知書の請求も必要になるため、忘れないようにしましょう。
また、どちらの分割方法でも離婚の翌日から5年以内に請求する必要があるため、分割を希望する場合はできるだけ早く準備をした方がよいでしょう。
出典
日本年金機構 離婚時の年金分割
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
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