50歳で死亡した「年収600万円」の夫…私は“専業主婦”で「月11万円」の遺族年金に頼ってますが、ニュースで「5年で打ち切りになる」と聞きました。途中で“支給停止”になるのでしょうか?
ただし、今回の改正による影響を受けない人も明確に定められており、50代の夫を亡くした専業主婦が必ずしも5年で打ち切られるわけではありません。
本記事では、遺族年金の法改正の内容、年収600万円の夫が亡くなった場合の受取額の目安、制度に頼らない具体的な対策、の3点を詳しく解説します。
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5年で打ち切り? 遺族年金の法改正とは?
遺族年金が5年で打ち切られるという情報は、制度の一部のみを切り取った表現であり、実態とは少し異なります。2025年6月13日に年金制度を抜本的に見直す法律が国会で成立し、2028年4月からの段階的な施行が決定しました。
今回の改正の最大の柱は、従来30歳以上の妻に対して原則として終身で給付されていた遺族厚生年金を、段階的に「5年間の有期給付」へと変更する点にあります。
現行制度は、夫が働き妻は専業主婦という「昭和モデル」を前提に設計されてきました。共働き世帯が1200万世帯を超えた現代の実態に合わなくなっていたため、男女間の不均衡を解消する見直しが実施されました。
重要なのは、全ての人が影響を受けるわけではないという点です。以下のいずれかに当たる人は、今回の改正の影響を受けず、従来どおり終身給付が維持されます。
・施行日前にすでに遺族厚生年金を受給している人
・60歳以降に受給権が発生する人
・18歳年度末(障害等級によっては20歳未満)までの子どもを養育している人
・2028年度末時点で40歳以上になる女性
なお、改正後に5年有期給付となる人には、受取額が現行より約1.3倍に増額される措置が盛り込まれており、最初の5年間で生活再建を集中的に支援する仕組みへと転換が図られています。
また、5年の給付終了後も、就労収入が月額約10万円(年間122万円)以下の場合は継続して給付を受けられる配慮措置が設けられているため、収入の少ない人への一定の保護も維持されます。
年収600万円の会社員では制度改正で受取額がどう変わる?
遺族厚生年金の受取額は、亡くなった夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額として計算されます。平均年収600万円で厚生年金の加入期間が25~30年程度の夫が亡くなった場合、中高齢寡婦加算を含む遺族厚生年金の年額の目安はおおよそ125万~138万円、月額換算で月10万~12万円前後になります。
50歳で亡くなった夫の厚生年金の加入期間が25年(300ヶ月)未満と短い場合であっても、最低25年間加入していたものとして手厚く計算される保障措置があるため、受取額が大幅に減少する心配は少ないです。
ただし、子どもがいない場合は遺族基礎年金の受給対象外となるため、専業主婦の妻が受け取れるのは遺族厚生年金のみになる点に留意が必要です。
掲題のケースでは、すでに夫が亡くなり遺族厚生年金を受給しているならば、従来どおり終身給付されます。
今後夫が亡くなった場合は、2028年度末時点で40歳以上となる女性は改正の対象外とされており、現行の終身給付が維持されます。夫が50歳で亡くなるケースでは妻もおおむね40代から50代であることが多く、2028年度末に40歳以上であれば、5年で打ち切られる心配はほとんどないでしょう。
一方、40歳以上65歳未満で子どもがいない妻に支給される「中高齢寡婦加算」(2026年度の年額は63万5500円)は、2028年から約25年かけて段階的に縮小される方向で見直されます。
すでに夫が亡くなり加算を受け取っている遺族厚生年金を受給しているならば65歳になるまで受け取ることができますが、見直しの施行日(2028年4月1日)以降に新規に発生する加算は段階的に縮小されるため、どの程度影響を受けるか事前の確認が大切です。
遺族年金に頼らないための対策とは
遺族年金の改正を踏まえると、公的年金だけに頼らない備えを今から始めるのが重要です。特に専業主婦は夫の収入に依存する割合が大きいため、万一の際の収入の減少幅も大きくなりやすい傾向があります。
そこで、以下のように遺族年金に頼らない対策も考えておきましょう。
収入保障保険の見直し
夫が亡くなった際に備えた生命保険の内容を確認しましょう。特に「収入保障保険」は亡くなった時点から保険期間満了まで毎月一定額を受け取れるため、遺族年金で補えない生活費の不足分を合理的にカバーできます。
NISAやiDeCoによる資産形成
NISAは運用益が非課税で流動性も高いため、急な支出への対応にも役立ちます。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため、老後資金を節税しながら積み上げられます。目的別に使い分けながら、長期的な視点で資産を形成していきましょう。
まとめ
2025年6月に成立した遺族年金の改正法では、2028年4月から段階的な施行が始まり、60歳未満で配偶者を亡くした人への遺族厚生年金が原則5年間の有期給付へと変わります。ただし、2028年度末時点で40歳以上の女性や、施行日前にすでに受給中の人には影響がありません。
年収600万円の夫が亡くなった場合の遺族厚生年金は、月10万~12万円前後が目安です。50代の夫を亡くした場合、妻が40代以上であれば直接の影響は受けにくいですが、今後受給することになる人は「中高齢寡婦加算」の段階的縮小には注意が必要です。
公的年金の制度は今後も変化し続けることが予想されます。収入保障保険・NISA・iDeCo・就労を組み合わせた「公的年金+自助努力」の発想で、早めに複合的な備えを整えておくのが将来の安心につながるでしょう。
出典
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

