定年後に近所のスーパーでレジ打ちのパートを始めたら、元同僚に「働きすぎると年金を減らされて逆に損するよ」と笑われました。少し働くだけでも年金はカットされるのでしょうか?
ただし、少し働くだけで年金がすぐカットされるわけではありません。令和8年4月以降は、賃金と老齢厚生年金の合計が月65万円を超えた場合に調整されます。
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年金が減るのは一定額を超えて働いた場合
在職老齢年金とは、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取る人について、賃金と年金の合計が一定額を超えた場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される仕組みです。
日本年金機構によると、令和8年4月からは、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が月65万円を超える場合に、年金の一部または全部が支給停止されます。令和8年3月以前の基準額は月51万円でしたが、改正により引き上げられました。
ここでいう総報酬月額相当額とは、毎月の賃金に、1年間の賞与を12で割った額を足したものです。基本月額は、加給年金額を除いた老齢厚生年金を12で割った額です。
つまり、近所のスーパーで短時間のレジ打ちをする程度なら、多くの場合、合計65万円を超えないでしょう。たとえば、老齢厚生年金が月10万円、パート収入が月8万円なら、合計18万円です。この場合、在職老齢年金によるカットは通常問題になりません。
厚生労働省の報告によると、民間企業で働いていた人の年金の月額は、老齢基礎年金を含めた額で平均15万1000円となっています(令和6年度末現在)。
また、同省の資料によれば、月65万円の賃金は、「平均的にはボーナス込みで年収1000万円に相当」するとされています。一般的には、年金とレジ打ちのパートだけでこれに相当する年収に到達するのは難しいと言えるでしょう。
老齢基礎年金は在職老齢年金の調整対象ではない
年金には、大きく分けて老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。老齢基礎年金は、国民年金から支給される基礎部分です。老齢厚生年金は、会社員などとして厚生年金に加入していた人が受け取る上乗せ部分です。
在職老齢年金で調整されるのは、老齢厚生年金です。日本年金機構も、老齢基礎年金は調整の対象にならないと説明しています。そのため、働いたからといって、年金全体がすべて止まるわけではありません。仮に基準額を超えて支給停止が起きても、対象は老齢厚生年金の部分です。
また、70歳以上で働く場合も、厚生年金保険料を払うかどうかとは別に、在職老齢年金の計算対象になることがあります。勤務先で社会保険に入る働き方をするかどうかも、確認しておくと安心です。
「働くと損」と一言で言われることがありますが、実際には収入、年金額、勤務時間、社会保険加入の有無で変わります。少し働くだけなら、生活費の補いになるだけでなく、社会とのつながりや健康維持にも役立つでしょう。
働く前に年金額と勤務条件を確認する
年金が減るかどうかを知るには、自分の老齢厚生年金の月額と、働いた場合の給与を確認する必要があります。ねんきん定期便、年金額改定通知書、ねんきんネットなどで、老齢厚生年金の金額を見ておきましょう。
勤務先では、時給、勤務時間、月の見込み収入、賞与の有無、社会保険加入の有無を確認します。週の労働時間や月収によっては、健康保険や厚生年金に加入することがあります。社会保険料が引かれると手取りは減りますが、将来の厚生年金が増える場合もあります。
もし月65万円を超えそうな高収入の仕事をするなら、年金事務所で試算してもらうと安心です。スーパーの短時間パートでそこまで高収入になることは少ないですが、役員報酬や賞与がある仕事では注意が必要です。
年金を気にして働くのをやめるより、正しい基準を知ったうえで、無理のない時間で働くことが大切です。体力や家族の事情に合わせて勤務日数を調整しましょう。
まとめ
定年後に近所のスーパーでレジ打ちのパートを始めても、少し働くだけで年金がすぐカットされるわけではありません。在職老齢年金で調整されるのは、賃金と老齢厚生年金の合計が一定額を超えた場合です。
令和8年4月以降の基準額は月65万円です。パート収入と一般的な老齢厚生年金の合計で、この金額を超えるケースは多くありません。また、老齢基礎年金は在職老齢年金の調整対象ではありません。
不安な場合は、年金事務所やねんきんネットで自分の年金額を確認し、勤務先の収入見込みと合わせて計算しましょう。正しく知れば、「働くと損」と決めつけず、収入と生きがいの両方を得る働き方を選びやすくなります。
出典
日本年金機構 在職老齢年金制度が改正されました
厚生労働省 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 年金制度改正法に関する広報について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

