65歳から「年金15万円」予定の父が“余命宣告”…もし亡くなったら、母は老後「年金6万円だけ」で過ごすことになります。「遺族年金・寡婦年金・死亡一時金」などは受け取れますか? 受給要件・金額を確認

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65歳から「年金15万円」予定の父が“余命宣告”…もし亡くなったら、母は老後「年金6万円だけ」で過ごすことになります。「遺族年金・寡婦年金・死亡一時金」などは受け取れますか? 受給要件・金額を確認
年金は高齢者や障がい者などの生活を支える社会保障制度の1つです。もし、年金を受け取る前に亡くなったとき、もらえるはずだった年金はどうなるのでしょうか。
 
今回の記事では、65歳から年金15万円を受け取る予定だった父親が亡くなったとき、年金6万円だけの予定の母親はいくら受け取れるのかを解説します。
金成時葉

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

年金を受け取らずに亡くなったときは遺族が受け取れる

年金を受給せずに亡くなった場合、遺族年金、寡婦年金、死亡一時金、未支給年金のいずれかが遺族に支給される可能性があります。何を受給できるかは、亡くなった人の年金の加入状況や遺族との関係によって異なります。
 

会社員で厚生年金に加入していた場合

亡くなった人が厚生年金に加入していた場合、遺族厚生年金を受け取れます。この年金の受給要件は4つあり、亡くなった人がいずれか1つの要件を満たしていれば受給できます。


・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡したとき
・老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき

今回の場合、4つ目の要件に該当します。なお、この要件は保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間ならびに65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上ある人に限られます。
 

自営業で国民年金に加入していた場合

亡くなった人が自営業をしており、国民年金の第1号被保険者だった場合、寡婦年金もしくは死亡一時金のいずれかを受給できます。
 

寡婦年金とは

寡婦年金は、第1号被保険者の保険料を10年以上納めていた夫が亡くなった際、要件を満たした妻に60歳から65歳になるまでの間支給されるものです。
 
夫と10年以上継続して婚姻関係があり、妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていないことが要件です。また、亡くなった夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるときは支給されません。
 

死亡一時金とは

死亡一時金は、第1号被保険者の保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取らずに亡くなったとき、生計を同じくしていた遺族に支給されるものです。遺族には次のような優先順位があります。


1. 配偶者
2. 子
3. 父母
4. 孫
5. 祖父母
6. 兄弟姉妹の中で優先順位の高い人

 

父親が62歳で亡くなったときの母親が受け取れる金額は?

もし余命宣告を受けた父親が62歳で亡くなった場合、母親が受け取れる金額はいくらになるのか、年金別に見ていきましょう。なお、母親の年齢は62歳、子は成人済みで独立しており、年金の繰上げ受給はしていないものとします。
 

遺族厚生年金の場合

遺族厚生年金の金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例の4分の3の額となります。亡くなった父親の厚生年金の加入期間を次のように仮定しました。
 
・20歳(1984年5月)~60歳(2024年4月)まで加入
 
受け取る予定だった年金額を15万円とすると、老齢基礎年金の満額が7万608円のため、老齢厚生年金で受け取る金額は約8万円で、1年分は約96万円となります。
 
報酬比例部分は96万円のため、遺族厚生年金の金額は次の計算式で求められます。
 
96万円×3/4=72万円
 
今回のケースでは母親が65歳未満のため、中高齢寡婦加算が上乗せされます。中高齢寡婦加算とは、次のいずれかに該当する妻が40歳~65歳になるまでの間、支給されるものです。


・夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない
・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていいた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達したなどのため、遺族基礎年金を受給できなくなった

中高齢寡婦加算の金額は63万5500円のため、合計すると次のようになります。
 
72万円+63万5500円=135万5500円
 
遺族厚生年金の場合、135万5500円受け取れることが分かりました。65歳までの3年間で受け取れる金額は、中高齢寡婦加算を含めて406万6500円となります。
 

寡婦年金の場合

年金15万円は厚生年金の加入が考えられますが、仮に20歳~60歳までの間、自営業で国民年金第1号被保険者だった場合どうなるのかをシミュレーションしてみましょう。寡婦年金の金額は夫の第1号被保険者期間のみで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。
 
今回の場合、40年間加入していることから父親が受け取るはずだった年金は満額となります。そのため、母親が受け取れる金額は次の計算式で求められます。


7万608円×12ヶ月=84万7296円
84万7296円×3/4=63万5472円

寡婦年金は65歳になるまでの間支給されるため、3年間で190万6416円受け取れることになります。
 

死亡一時金の場合

死亡一時金の金額は、保険料を納めた月数に応じて図表1のように決められています。なお、付加保険料を36ヶ月以上納めていた場合は、8500円が加算されます。
 
図表1

図表1

日本年金機構 遺族年金ガイド 令和8年度版より筆者作成
 
今回の場合、40年間(12ヶ月×40年=480ヶ月)のため、32万円を受け取れます。死亡一時金はその名の通り、1回限りの支給となります。
 

厚生年金に加入していると手厚い保障を受けられる

亡くなった人が加入していた保険別に、配偶者が受け取れる金額をシミュレーションしました。厚生年金と国民年金で大きな違いがあることがよく分かったのではないでしょうか。
 
将来の漠然とした不安をシミュレーションして見える化することで、いくら必要なのかを知ることができます。実際の受給額は、これまでの細かい加入履歴や、配偶者自身の年金状況によって一人ひとり異なります。公的な保障を正しく理解し、今からできる具体的な備えを考えてみましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族年金ガイド 令和8年度版
 
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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