遺族厚生年金をもらいながら、自分の老齢厚生年金をもらう年齢(65歳)になりました。両方とも全額もらえると思っていたのに、遺族厚生年金が減るって損じゃないですか?
今回は、「1人1年金の原則」と、その特例について解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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1人1年金の原則とは
年金には、高齢者の生活を支える老齢年金、障害者の生活を支える障害年金、遺族の生活を支える遺族年金の3種類があります。そして、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)に、会社員などが加入する厚生年金が上乗せされる2階建ての構造となっています。
したがって、支給事由が同じ基礎年金と厚生年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金のように、当然に併給されます。一方、支給事由が異なる2つ以上の年金を受けることができる場合は、受給者がいずれか1つの年金を選択することになっています。これを「1人1年金の原則」といいます(※1)。
ただし、この原則には一定の特例があり、65歳以降など一定の要件を満たす場合には、2つの年金を併給できることがあります。
特例として併給が認められる年金とは
65歳以上の方が、支給事由の異なる2つ以上の年金を受ける場合、特例として併給が認められることがあります(※1, 2)。
1. 老齢給付と遺族給付
(1)老齢基礎年金と遺族厚生年金の併給
65歳以上で老齢基礎年金を受給している方が、遺族厚生年金を受給できるようになった場合は、両方を合わせて受給することができます。
(2)老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給と併給調整
遺族厚生年金を受給していた方が、65歳になって自分自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することができるようになった場合、遺族厚生年金の額が老齢厚生年金の額を上回るときは、その差額分が遺族厚生年金として支給されます(図表1)。
図表1
2. 老齢給付と障害給付
障害基礎年金と障害厚生年金を受給していた方が、65歳になって老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できるようになった場合は、以下のいずれかの組み合わせを選択することができます。
選択肢1:障害厚生年金と障害基礎年金
選択肢2:老齢基礎年金と老齢厚生年金
選択肢3:老齢厚生年金と障害基礎年金
3. 障害給付と遺族給付
障害基礎年金と障害厚生年金を受給している方が、遺族厚生年金を受給できるようになったときは、65歳以降、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
選択肢1:障害厚生年金と障害基礎年金
選択肢2:遺族厚生年金と障害基礎年金
まとめ
遺族厚生年金を受給していた方が、65歳になって自分自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できるようになった場合は、「1人1年金の原則」の特例により、老齢年金に加えて遺族厚生年金を受給することができます。
ただし、老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金については、その額から老齢厚生年金の額を差し引いた差額分が支給されます。そのため、老齢厚生年金の額が遺族厚生年金の額以上である場合は、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
出典
(※1)日本年金機構 年金の併給または選択
(※2)日本年金機構 2つ以上の年金を受け取れる方へ受け取る年金を選択する手続きのご案内
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士


