年金を月「15万円」受け取っていた夫が亡くなりました。妻の私は、「遺族年金」と自分の年金「5万円」を合わせて、月「20万円」受け取れるでしょうか?
そこで今回の記事では、夫の年金が15万円、妻自身の年金が5万円だと仮定した場合において、夫の死後も毎月夫が生前に受け取っていた年金額である15万円相当額を、遺族年金として受け取れるのか考えてみました。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
国民年金部分からの遺族年金を受け取れるケースは限られる
まず押さえておきたいのは、夫が受け取っていた年金15万円の権利は、夫の死後そのまま妻に移るわけではないという点です。
現在、老齢基礎年金(国民年金部分)は満額でも月7万円程度であることを考えると、夫の年金15万円には、老齢基礎年金と老齢厚生年金が含まれているはずです。
実は、老齢基礎年金と老齢厚生年金とでは、遺族年金として夫の死後、妻が受け取れるかどうかの判断が異なります。
特に年金生活者の妻が遺族基礎年金を受け取れるという状況は非常にレアケースです。仮に受け取れたとしても、生涯受け取れるわけではありません。
なぜなら、妻が遺族基礎年金(国民年金部分)を受け取れるのは、原則として18歳になった年度の3月31日までにある子(障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子の場合は18歳の部分が20歳まで延長)であるからです。
加えて、自身の年金を受け取れるのは早くても60歳であることを考えると、多くの方は遺族基礎年金は受け取ることができません。
したがって、基本的には老齢厚生年金、すなわち厚生年金部分からの遺族年金に期待することになります。
結局のところ年金はどれくらいもらえるのか
妻が受け取る遺族厚生年金は、死亡した夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額、または死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額のいずれか高い方になります。
例えば、夫の年金15万円の内訳が、老齢基礎年金約7万円という場合において、老齢厚生年金は約8万円だったとしましょう。
この場合、遺族厚生年金の目安は8万円の4分の3で、多くても月6万円ほどです(簡易的に年金額の4分の3で算出)。
夫の年金額が15万円ほどなのに対し、現実に受け取れる遺族年金はその半分以下となることが見込まれます。
遺族厚生年金は一部支給停止となることがある
とはいえ、単純に妻自身の年金が月5万円支給され、さらにそこに遺族年金が6万円支給されて、合わせて月11万円の年金となるかというと、そう単純な話でもありません。
なぜなら、現在は65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある方は、遺族厚生年金の支給が一部停止されることがあるからです。
具体的にいうと、老齢厚生年金は全額支給されますが、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となり、老齢厚生年金を上回る額のみ遺族厚生年金として支給されます。
現実にはそうそうあり得ないような事例になりますが、仮に月5万円の年金の内訳が、老齢基礎年金が4万円、老齢厚生年金が1万円だとしましょう。
すると、遺族年金の6万円から老齢厚生年金の1万円が引かれて、実際に支給される遺族厚生年金は5万円となるという具合です。
そのため、自身の受け取る年金額のうち、厚生年金の金額が大部分を占めるというような場合は、遺族厚生年金の支給額が想像以上に低くなる可能性があります。
まとめ
夫が月15万円の年金を受け取っていたとしても、夫の死後、その金額がそのまま遺族年金として妻に支給されるわけではありません。
そのため、妻自身の収入が月5万円の年金だけという場合、遺族年金を受け取っても現状のように月20万円の世帯収入に届く可能性は低いでしょう。
夫の死後、遺族年金と自身の年金を含めた年金収入がどれくらいの額になるのか気になるという場合は、年金振込通知書や年金額改定通知書で夫婦双方の年金支給額の内容を確認し、必要に応じて年金事務所で具体的な見込み額を確認することが大切です。
出典
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者 : 柘植輝
行政書士

