離婚成立の1ヶ月後に元夫が亡くなりました。結婚生活が「30年」あっても、元妻に遺族年金は支給されないのでしょうか?
そのようなケースにおいて、離婚から間もない状態であれば離婚前の関係に準じ、何かしら遺族年金などを受け取ることはできるのでしょうか。この記事では、30年連れ添ったのちに離婚した夫婦を例に考えていきます。
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
離婚後に亡くなった場合、元妻は原則として遺族年金の対象外
まず結論からいえば、離婚が成立した後に元夫が亡くなった場合、元妻は原則として遺族年金を受け取ることができません。たとえ結婚生活が30年あったとしても、あるいは1年だけであったとしても、変わりません。どちらも死亡時点ですでに法律上の配偶者ではないためです。
例えば、遺族基礎年金は、亡くなった人に生計を維持されていた子のある配偶者または子が対象です。元妻はここでいうような配偶者には当たらず、離婚後は遺族基礎年金を受け取ることができないとなるわけです。
遺族厚生年金も同様です。遺族厚生年金を受け取ることができるのは、死亡した人の配偶者、子、父母、孫、祖父母であって、死亡当時に生計を維持されていた人とされています。
ここでも、離婚後の元妻は元配偶者であって配偶者ではないため、原則として遺族厚生年金の受給対象にはなりません。
「30年連れ添った」こと自体では、遺族年金の権利は残らない
今回のように、結婚生活が30年あった場合、長年家庭を支えたのだから、元妻にも権利があるのではと考えたくなるかもしれません。特に、離婚成立からわずか1ヶ月後に元夫が亡くなったとなれば、納得しにくい面もあるはずです。
しかし、気持ちの面と制度上の取り扱いは分けて考える必要があります。遺族年金は、過去の婚姻期間の長さを評価して支給する制度ではありません。基本的には、亡くなった時点で遺族に当たるのかや、亡くなった人に生計を維持されていたのかを見ます。
その点、一度離婚が成立すると元妻は法律上の配偶者ではなくなります。つまり、30年の婚姻期間は遺族年金の支給の有無に影響しないのです。
30年の結婚生活が関係するのは「離婚時の年金分割」
では、30年の結婚生活はまったく考慮されないのでしょうか。
結論からいえばそうとは限りません、それは別の制度において重要になってきます。それが離婚時に行われる年金分割です。年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録を夫婦間で分ける制度です。
分割されるのはあくまでも厚生年金の記録なので、元夫の年金をそのまま受け取れるわけではありませんが、婚姻期間中の厚生年金記録が分割され、自分自身の老齢厚生年金に反映されます。
専業主婦期間が長かった人や、夫婦の収入差が大きかった人にとっては、将来の自分の年金額に影響する重要な手続きになるでしょう。
まとめ
離婚成立の1ヶ月後に元夫が亡くなった場合でも、元妻は原則として遺族年金を受け取れません。
結婚生活が30年あったとしても、死亡時点ですでに法律上の配偶者ではないため、遺族基礎年金や遺族厚生年金の「配偶者」には当たらないからです。
ただし、離婚時の年金分割によって、夫の年金記録の一部を受け取ることができます。年金は自身の将来に影響する重要な制度です。気になることなどあれば、早めに最寄りの年金事務所へ相談することをおすすめいたします。
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 離婚時の年金分割
執筆者 : 柘植輝
行政書士
