15歳年上の夫は70代、妻の私は50代です。夫の年金「月20万円」で暮らしていますが、先立たれた場合、今と同じ生活水準を保てるのか心配です…。“遺族年金”はどのくらい受け取れるのでしょうか?
そこで、今回の記事では夫の年金月額20万円で生活している夫婦の妻は夫の死後、遺族年金をどれくらい受け取れるのか考えてみます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
夫の年金20万円がそのまま遺族年金の金額となるわけではない
まず押さえておきたいのは夫が受け取っている年金、月額20万円の内訳です。日本の公的年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2階建てになっています。
日本年金機構によると、令和8年度の老齢基礎年金は満額で月額7万円ほどです。つまり今回のケースにおいて、老齢基礎年金を満額受け取っていると仮定すると、厚生年金部分に当たる老齢厚生年金は月額13万円ほどになります。
そして、遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、それぞれ受給するための要件が異なります。
遺族基礎年金を受け取れる配偶者は、原則として一定の要件を満たす「子のある配偶者」に限られます。そのため、今回のケースで妻が対象となる子を養育していない場合は、主に遺族厚生年金を受け取れるかどうかを確認することになります。
遺族厚生年金はどれくらい支給される?
では、妻の受け取る遺族厚生年金はどれくらいになるでしょうか。
遺族厚生年金の金額は、死亡した夫が受け取っていた老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額になります。つまり、「夫の年金月額20万円の4分の3」ではないのです。
それを今回の事例に当てはめてみると、仮に夫の老齢厚生年金が月額13万円ほどの場合、遺族厚生年金は10万円弱が目安になるでしょう。
なお、生計を同じくしている子がいないなど一定の要件を満たす妻は、40歳から65歳未満までの間は月額5万円ほど中高齢寡婦加算が支給されますが、65歳になるまでしか受け取ることができません。
遺族厚生年金の見直しについて
実は遺族厚生年金は2028年4月以降、段階的に給付期間の見直しがなされていくことが決まっています。具体的にいうと、18歳年度末までの子どもがいない場合、男女ともに原則として60歳未満で死別した場合は5年間の有期給付に、60歳以上で死別した場合は現行どおりの無期給付となります。
そのため、子どもがいない若年層が将来を考えるにあたっては、遺族厚生年金に頼ることなく自力で生きていくことも視野に入れていかなければならないことになります。
このような見直しの背景には、共働き世帯の増加や女性の就業の進展、制度上の男女差の解消などが挙げられています。
なお、男性は2028年4月から実施、女性は2028年4月から20年かけて段階的に実施されていくことになっている点にはご注意ください。
ただし、2028年度に40歳以上になる女性については本変更による影響はありません。
まとめ
夫の年金が月額20万円あっても、妻が受け取る遺族年金が月額20万円になるわけではありません。遺族厚生年金の支給額は、夫の年金総額ではなく、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額になるからです。
例えば、夫の年金20万円のうち老齢厚生年金部分が月13万円なら、遺族厚生年金は月9万7500円ほどとなる可能性があります。
夫の年金を中心に生活している場合、夫の死後も同程度の生活水準を維持するには、遺族年金だけでなく、妻自身の年金や就労による収入、貯蓄なども含めて考えておくことが大切でしょう。
出典
日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方
執筆者 : 柘植輝
行政書士
