20代の息子が「年金なんてどうせもらえないから」と未納を放置。そのまま放置し続けると、万が一のけがや病気のときに“数千万円の障害年金”が1円ももらえない最悪の事態になるって本当!?
厚生年金は会社から給与天引きで保険料が引かれるので、未納は考えづらいですが、国民年金の場合は、自分で納付する必要があり、20歳以上の学生も例外ではありません。今回は、年金に不信感を抱き未納した場合について考えていきます。
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
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年金制度の3つの機能
日本の年金制度は、65歳から受け取ることができる老齢年金とけがや病気となったときに受け取ることができる障害年金、加入者が亡くなったときに遺族が受け取ることができる遺族年金の3つから成り立っています。
さらに20歳以上60歳未満の人に加入が義務付けられている国民年金と、会社員などが加入する厚生年金があり、それぞれに、老齢・障害・遺族年金があります。
今回、ご相談があった「障害年金」については、障害の原因となった病気やけがの初診日や障害の状態など、所定の要件を満たす必要があります。障害認定日は原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日で、20歳前に初診日があり、障害認定日以後に20歳に達した場合は、20歳に達した日が基準となります。
事後重症による請求の場合は、65歳になる日の前々日までに請求する必要があります。
障害基礎年金は令和8年4月分から、1級で昭和31年4月2日以降生まれの人は105万9125円+子の加算額、2級で昭和31年4月2日以降生まれの人は84万7300円+子の加算額となっています。
子の加算額は2人目までは1人につき24万3800円、3人目以降1人につき8万1300円となっています。子どもは18歳になった後の最初の3月31日までの子もしくは20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態にある子です。
障害厚生年金は、1級は報酬比例の年金額の1.25倍+配偶者の加給年金、2級は報酬比例の年金額+配偶者の加給年金、3級は報酬比例の年金額となっています。配偶者の加給年金額は24万3800円となっています。
障害年金の受給要件は
障害年金を受けるためには、次のいずれかの保険料納付要件を満たす必要があります。
1. 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
2. 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
仮に今回の相談のように20代の人が1級の障害状態となった場合、年間105万9125円を受け取ることができます。25歳から65歳までの40年で計算すると4236万5000円を受け取ることになります。障害年金は65歳未満で受給していれば、65歳以降も障害年金を受け取ることができます。
しかし、前述した未納をして前述の要件を満たしていない場合は、1円も受け取ることができないということになります。
年金は信用できないという声もありますが
今回の相談のように、「年金額は減る」や「私がもらえる頃にはなくなっている」ということをいう人も見受けられます。
しかし、年金の運用管理を行っている、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2026年度の運用状況を見ると2026年度の第1四半期で8.20%の収益率、収益額は24兆895億円。2001年からの市場運用開始以降で見ると収益率は年率4.95%、収益額は221兆201億円と順調に収益を出しています。
この運用は老齢年金だけではなく、障害年金や遺族年金の原資ともなっています。令和6年度の障害年金支給額は、厚生年金で3723億円、国民年金で1兆9879億円です。
また前述した障害年金額は、令和8年度の年金額ですが、年金額は毎年変動します。
現在の年金制度は、マクロ経済スライドという方式を採用しています。このマクロ経済スライドは、物価や賃金の増減に連動しますが、その後、現役世代の減少や平均寿命の伸びに応じた「スライド調整率」を差し引くことで、年金額の伸びを抑える仕組みです。
まとめ
日本の年金制度は、老齢・障害・遺族年金から成り立っています。年金を受け取るには、基本的に年金保険料の支払いが必要です。20歳以上60歳未満の人には、国民年金に加入する義務があります。
厚生年金に加入している人は、給与などから保険料が天引きされていますが、国民年金は、自ら納付しないといけません。年金制度に不信を持って、納付しないという人も見かけますが、老齢給付だけではなく、今回のような障害状態になったときの年金も受け取れなくなる可能性があります。
年金は相互扶助の精神で成り立つ制度です。
マクロ経済スライドが採用されたことで、年金制度の持続可能性が確保されてきていますが、年金の水準は低下することになっています。老後の生活だけではなく、障害状態になったときや万が一、亡くなったときの遺族の保障など、自己努力で準備しておく必要があるのではないでしょうか。
出典
日本年金機構 障害年金
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 2026年度の運用状況
厚生労働省年金局 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者 : 吉野裕一
夢実現プランナー
