年金を受け取る母に「公金受取口座」の案内が届きました。父は「登録したら年金以外の入出金まで国に把握される」と心配していますが、口座を登録すると何が変わるのでしょうか?
本記事では、制度が設けられた目的や登録するメリット、知っておきたい注意点について分かりやすく解説します。
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公金受取口座とは? 登録できる口座や対象となる給付金を確認
公金受取口座登録制度とは、金融機関にお持ちの預貯金口座を給付金などの受け取り用として国に任意で登録しておく制度です。登録できるのは1人につき1口座のみで、必ず本人名義の口座に限られています。家族名義の口座や複数口座の登録はできません。
この口座を事前に登録しておくと、緊急時の給付金や各種手当などを受け取る際の手間を減らせます。通常、給付金の申請には申請書への口座情報の記入や、通帳の写しなどの書類添付、行政機関による口座確認の作業が必要となります。
しかし、公金受取口座をあらかじめ登録しておけば、これらの記載や書類の添付、行政側の確認作業が不要になり、スムーズに給付金を受け取ることが可能です。
受け取りの対象となるお金は、災害時や経済事情の急激な変動時に支給される給付金のほか、年金、所得税の還付金、児童手当など160種類以上と幅広く存在します。なお、口座情報を登録しても国に日々の取引明細などの入出金履歴が把握されるわけではありません。
ただし、審査や口座の実在確認などのため、金融機関への照会が行われる場合があります。また、金融機関からの求めに応じて、口座が公金受取口座として登録されている事実が金融機関側へ提供されることもありますが、その際にマイナンバーなどが提供される仕組みではありません。
年金受給者に届く「意向確認書」とは?
現在、政府と日本年金機構が連携し、公金受取口座をまだ登録していない65歳以上の年金受給者約1600万人を対象に、案内文(意向確認書)を簡易書留郵便で送付する取り組みを進めています。報道によれば、この取り組みでは郵送などの予算として約104億円が見込まれています。
この事業の最大の特徴は、同意する場合に返送の手続きが一切不要となる「オプトアウト方式」が採用されている点です。案内を受け取ってから45日以内に「公金受取口座登録不同意申出書」を提出しなければ登録することに同意をしたとして取り扱われ、年金を受け取っている口座が自動的に公金受取口座として登録されます。
不明点がある場合は、日本年金機構の「意向確認書照会専用フリーダイヤル」へ問い合わせることをおすすめします。なお、市区町村や年金事務所の窓口では対応していないため、問い合わせる際は注意しましょう。
公金受取口座の登録方法に懸念の声も|政府が進める取り組みとは
公金受取口座は、マイナポイント事業などを通じて登録が進められてきました。一方、登録状況は年代によって異なり、すべての人が登録しているわけではありません。特に高齢になるほど登録率が低くなる傾向もあり、高齢者への登録をどのように進めていくかが課題のひとつとなっています。
今回導入されたオプトアウト方式は、多くの人が登録しやすくなるという利点が期待される一方、その方法についてはさまざまな議論も行われてきました。
制度について議論したデジタル庁の会議では、「本人が知らないうちに登録されたと受け止められないか」といった趣旨の慎重な意見が示されたほか、国会でも登録方法について懸念を示す意見が出ています。
これに対して政府側は、口座登録によって本人に不利益が生じることは想定していないと説明しています。また、手続きに不慣れな高齢者などでも登録しやすくなる点をメリットとして挙げており、制度への理解を促しながら公金受取口座の登録・活用を進めています。
まとめ
公金受取口座の登録制度は、緊急時の給付金や年金の受け取り手続きを簡略化し、給付までの時間を短縮するための仕組みです。家族で話し合う際は、公金受取口座が給付金などを円滑に受け取るために口座情報を登録する制度であることを確認しておくとよいでしょう。
65歳以上の年金受給者の方に届く案内については、45日以内に何もしなければ年金振込口座が自動的に登録される方式となっています。もし自動での登録を希望しない場合は、指定の期限内に忘れずに「公金受取口座登録不同意申出書」の返送手続きを行う必要があります。
制度の仕組みや注意点を確認したうえで、自身の希望に沿って対応を判断することが大切です。
出典
デジタル庁 公金受取口座登録制度
日本年金機構 年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書をお送りします
日本年金機構 年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
