更新日: 2020.03.05 国民年金

年金は「老齢年金」だけではない!20歳になる子どもとその親が知っておきたい年金のこと

年金は「老齢年金」だけではない!20歳になる子どもとその親が知っておきたい年金のこと
オリンピックイヤーを迎える2020年に、20歳を迎える人たちはミレニアムベイビー。成人となる皆さまは、将来の日本を担う人たちです。
 
厚生労働省の「人口動態」によると、2000年の出生数は119万人強。20歳といえば、国民年金加入義務のスタートです。今回は、本人と親御さんに「年金の第一歩について」お伝えしたいと思います。
 
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

公的年金は将来のためのお得な終身保険

一般的に「年金」と言われているのは、老後、働けなくなった際に受給できる「老齢年金」を指しています。しかし、年金にはその他にも大きな役割があります。「年金」には、国が保障する「公的年金」と民間金融機関が販売をしている「私的年金」もあります。
 
また、公的年金にも全員加入義務のある「国民年金」と会社員や公務員が加入する「厚生年金」がありますが、本稿では「国民年金」を取り上げたいと思います。この国民年金を丁寧に言うと「国民年金(基礎年金)」と言いますので、併せて覚えてください。
 
公的年金は、若い時「支払いたくない」支出の代表格で、中には「支払ったら損」と言う人もいますが、それは大きな誤解です。日本の公的年金制度は、「賦課方式」といって、現役世代が納めた保険料を現在の高齢者の年金給付に充てています。
 
しかし、それだけでは不足しますので、高齢者に給付される年金の半分は国庫より支払われています。
 
この老後に支払われる年金のことを「老齢年金」といいます。また、この「老齢年金」は、20歳から60歳未満まで加入義務がありますが、給付は一生涯に渡り、民間保険でいうところの「終身保険」と同じです。人生100年時代、老後の生活に大きな安心材料につながるのが「老齢年金」なのです。

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年金は「老齢年金」だけではない

実は「公的年金」には、3つの役割があります。
 
●老齢年金(老齢基礎年金)
●障害年金(障害基礎年金)
●遺族年金(遺族基礎年金)

 
( )内には「基礎年金」という言葉が入ります。その理由は、会社員などが加入する「厚生年金」にも、同じように老齢(老齢厚生年金)・障害(障害厚生年金)・遺族(遺族厚生年金)があるので、それらと区別しています。
 
「年金は老後のためのものだから今は必要がない」と思われるかもしれませんが、「障害年金」と「遺族年金」は、年齢には関係なく受給できます。人生には「まさか」がつきものです。その「まさか」の時に、大きな役割を担ってくれるのも公的保険の大きな役割なのです。

年金の3つの役割

前述した年金の「3つの役割」について、詳しく見てみましょう。

<老齢基礎年金>

65歳以降「老齢基礎年金」を生涯(亡くなるまで)受け取ることができます。

<障害基礎年金>

病気やケガで障害が残った際に、障害の程度により「障害基礎年金」が支給されます。これは、65歳未満でももちろん受給できます。病気やケガはいつ起こるかわかりません。万が一起こった時に、この「障害基礎年金」が生活の支えになってくれるでしょう。

<遺族基礎年金>

一家の働き手が亡くなってしまった際、子のある配偶者、または子どもが受け取ることができます(子の要件あり)。
 
備えあれば憂いなし。不測の事態の際にも受け取れるのは安心です。

保険料を支払えない時の注意

このように、さまざまな面で安心が得られる「国民年金」ですが、学生など「どうしても今は保険料を支払うことができない」という方がいます。そのような場合は、放置せずに以下の申請をしてください。申請をすることで、年金を受給する際にメリットがあります。

<学生納付特例制度>

本人の所得が一定以下の学生は、申請することによって保険料の納付が猶予されます。これを「学生納付特例制度」と言います。
 
申請は、住民票のある所轄の「年金事務所」です。年金事務所は大変混雑しており、だいたいは予約制となっているので、事前に電話をして確認ください。また、「ねんきんネット」からも申請ができるようになりました。
 
猶予期間は「国民年金を受給するための資格期間」に組み込まれますが、年金額には反映されません。現在、現役で働いている方の中には、「学生時代支払いも申請もしていなかった」という方が結構います。年金は未納期間があると、満額受給できません。
 
学生納付の特例の良い点は、10年以内であれば保険料をさかのぼって納めることができることです(「追納」といいます)。社会人となって収入を得てからでも追納でき、将来満額を受給できます。

<学生以外の人>

学生以外の方でも、収入の減少や失業・病気などの要件で保険料を納めることが困難な場合、「猶予」や「免除」ができる制度があります。こちらもやはり申請が必要です。
 
また「免除」には、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4種類があります。ただし、免除をした場合は、全額納付した際に比べて年金を受け取る際に低額となってしまいます。こちらの追納は、基本的に2年1カ月にさかのぼり支払うことができます。
 
詳しくは、以前のコラム(※1)をご参照ください。
 
公的年金は、平等ということが念頭に置かれているため、細々としたルールがあります。詳細は、日本年金機構のホームページ(※2)より「学生納付特例制度」などをご覧ください。
 
(※1)ファイナンシャルフィールド「所得が低い未婚者が対象。国民年金保険料全額免除になるって本当?」
(※2)国民年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士


 

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