更新日: 2021.06.16 国民年金

大学生の子どもの国民年金保険料を払うと、親の社会保険料控除が使えるってホント?

大学生の子どもの国民年金保険料を払うと、親の社会保険料控除が使えるってホント?
私たちが住んでいる日本には、「国民皆年金制度」というものがあります。
 
基本的には20歳になったら公的年金に加入することになっています。学生であっても親の扶養に入っていても例外ではありません。
 
今回は、大学生本人が国民年金保険料を支払えなかった場合の選択肢、そして、親が代わりに支払った場合に「社会保険料控除」を受けられるかどうかについて解説します。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

大学生は「第1号被保険者」になる

20歳になったら、日本年金機構から国民年金に加入したことについて、「お知らせ」が郵送されてきます。ポイントは、「加入した」という事実が知らされるという点です。強制加入になりますので、当然、保険料の請求も来ます。
 
保険料の支払いについては、このときに納付書が同封されていますので、そちらで納付します。国民年金第1号被保険者の保険料は、1ヶ月当たり1万6610円です(令和3年度)。
 
まとめて前払いすると割引が適用されるお得な制度もありますが、単純に計算すると1年で19万9320円の保険料を支払うことになります。
 

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支払えない場合は「学生納付特例制度」を利用できる

学生の場合、アルバイトなどをしていても十分な収入が得られない人も多くいます。毎月1万6610円の出費は、決して小さいものではありません。
 
そんなときに安心なのが、「学生納付特例制度」です。この制度は、申請により在学中の保険料の納付を猶予してもらうことができます。
 
この制度を利用するには日本年金機構からのお知らせに同封されている「学生納付特例制度の申請書」を提出する必要があります。ただし、全ての学生が利用できるのではなく、本人の所得が一定以下の学生のみ利用できる制度となっています。
 
この制度を利用する注意点としては、保険料が「猶予」されるのであって「免除」されるわけではないということです。つまり、学生でいる間は保険料の支払いを猶予されているだけであって、支払ったことにはならないのです。
 
猶予された期間の保険料については、「追納」といって、10年以内であれば保険料をさかのぼって納付することができます。将来受け取る年金を増やすためにも、猶予制度を利用した場合は、追納することをおすすめします。
 

親が代わりに支払うと「社会保険料控除」が受けられる

「大学生の子どもの国民年金保険料を払うと、親の社会保険料控除が使えるってホント?」のタイトルに対する結論は、「ホント」です。
 
学生本人が国民年金保険料を支払えない場合、前述のとおり「学生納付特例制度」を利用する方法もありますが、親が代わりに支払うこともできます。
 
「社会保険料控除」は「納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができる制度」です。
 
今回のケースに当てはめて言うと、「親が大学生の子どもの国民年金保険料を払うと、親はその分の所得控除が受けられる(社会保険料控除が使える)制度」ということになります。
 
もっと言うと、節税につながる制度、ということになります。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額や給与や公的年金から差し引かれた金額の全額となります。余談ですが、この支払った金額については、贈与税の対象にはなりません。
 
社会保険料控除を使うためには、確定申告を行うか年末調整のときに申告するかのどちらかになります。
 

「社会保険料控除」でいくら節税できる?

大学生の子どもの国民年金保険料を1年間支払った場合、どれくらい節税できるのか確認してみましょう。
 
現在の国民年金保険料は年間で19万9320円です(令和3年現在)。
 
例えば、所得税率が10%(年間所得額によって変わる)、住民税率が10%(全国一律)の人の場合
 
19万9320円×20%=3万9864円。
 
1年間で約4万円節税することができます。
 

まとめ

公的年金制度は、老後や障害を負ったときに、社会全体で支えていきましょうという制度です。
 
20歳から公的年金制度に加入して保険料を納め続けることで、老後や、病気やけがで障害が残ったときなどに、年金を受け取ることができます。ファイナンシャル・プランニングを行う際にも、公的年金は重要な要素となります。
 
親として子どものためにできることの一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
 
※2020/04/17 記事を一部修正させていただきました。
 
出典
日本年金機構「学生のための知っておきたい年金のはなし」
日本年金機構「20歳になったら、どのような手続きが必要ですか」
日本年金機構「国民年金保険料」
日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
国税庁「No.1130 社会保険料控除」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー


 

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