年金保険料の支払いができないときの対処法とは?
配信日: 2020.07.01
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
国民年金保険料が支払えないときは
2020年度、自営業、無職、学生の方などが支払う国民年金保険料は、1カ月あたり1万6540円(※)です。少ない金額ではありませんので、家計にとって負担に感じるという方も多いのではないでしょうか。
どうしても支払いが難しく、届いた納付書をそのまま放置して「未納」状態になってしまう方もいますが、これだと何度も郵便が届いたり、請求の電話がかかってきたり、家まで訪問されたり、面倒なことになってしまいます。
老後の年金はもちろん、病気やケガで障害が残ったときの「障害年金」、亡くなったときに家族が受け取れる「遺族年金」などもなくなる可能性があります。
経済的な事情で支払いができない場合でも、きちんと対処しておけば、支払っていなくても支払ったような扱いにしてもらえる「免除(めんじょ)」や、支払いを待ってもらえる「猶予(ゆうよ)」といった措置を受けることができます。
免除や猶予を受けられれば、そのあと頻繁に連絡がくることもありませんし、年金も受け取りやすいよう配慮してもらえます。
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「免除」や「猶予」とは? 手続き方法は?
■「免除」と「猶予」
保険料の免除を受けると、その期間は保険料を支払っていなくても「支払った期間」としてカウントされます。通常どおり保険料を支払うよりは低くなりますが「支払った金額」にも反映され、年金が受け取れないという事態を避けることができます。
所得に応じて、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があります。猶予は、免除同様「支払った期間」としてはカウントされますが、「支払った金額」には反映されません。支払義務がなくなるわけではなく、あくまで支払いを待ってもらえる、というイメージです。
■免除や猶予を受けるにはどうすれば良い?
免除や猶予を受けたいと思ったら、お住まいの市区町村役場の国民年金窓口に所定の書類を提出しましょう。
申請書は日本年金機構のホームページなどでダウンロードできますし、郵送でも受け付けてもらえます。新型コロナで困窮してしまった方なら、特別に簡易的な手続きで済むようになっています。
自分がどのくらい免除になるのかわからない、書類の書き方がわからないといった場合は、最寄りの年金事務所に電話して教えてもらうこともできます。年金保険料の支払いが難しそうだと思ったら、できるだけ早めに相談して対処しておくようにしましょう。
免除を受けた分はあとから「追納」できる
免除を受けた期間は、通常どおり保険料を支払っていた期間に比べ、受け取れる年金額が少なくなります。
もし、新しい仕事が見つかったり、収入が上がったりして生活に余裕が出てきたら、過去10年分まではさかのぼって保険料を納められる「追納(ついのう)」という制度があります。
あとから満額受け取れるようにすることもできますので、苦しいときは悩まず免除などでしのぐようにしましょう。ちなみに、追納すると所得税や住民税の負担が軽くなりますよ。
未納はNG! 将来のためにもきちんと対処しておこう
最も良くないのは、保険料を支払えないことではなく、そのまま放置しておくことです。手続きは面倒に感じるかもしれませんが、将来もっと困ったときに年金を受け取れない方が面倒なことになります。
少しの手間で金銭的にも精神的にも負担が軽くなりますし、自分や家族を守ることにもつながります。「お金がない」とあきらめずに、まずは年金事務所に相談してみましょう。
(※)日本年金機構「国民年金保険料」
(出典)日本年金機構
「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
「新型コロナウイルス感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難な方へ」
「国民年金保険料の追納制度」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表