更新日: 2020.10.03 その他年金
「付加年金」はお得?その仕組みとは?
この国民年金は、支払う保険料は1カ月当たり1万6540円(令和2年度)で、現在もらえる年金額は1カ月当たり6万5141円(令和2年度・満額受給の場合)とされています。
会社員の方は、いわゆる「2階建て」として厚生年金に加入していますので、国民年金に上乗せして厚生年金を受け取ることができるのですが、そうではない自営業等の方は、老後の備えについて会社員の方以上に十分に意識し、準備しておく必要があるでしょう。
執筆者:星田直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
一般企業勤務を経て、30代から税務会計の世界に入り、税理士とCFPの資格を取得。
税理士法人勤務時には法人税務顧問、ベンチャー支援、事業再生、相続・事業承継といった多様な業務に従事。公的機関での勤務も経験した後、2014年に独立。現在は西新宿に税理士事務所を開業している。
中小企業向けの講演多数。他の専門家とも多く提携しており、ワンストップでお客様のお悩みに対応できる体制を構築している。
付加給付近について解説します
公的年金以外の老後の備えについてはiDeCoが有名ですが、これは投資商品をご自身で選ぶ必要があるため、運用成績によって将来もらえる金額が上下します。
一方で、少ない掛金で将来もらえる年金額を確実に増やすことができる「付加年金」という制度もありますが、これは認知度がやや低い印象です。ここでは、この「付加年金」について簡単にご紹介していきましょう。
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付加年金とは。その付加保険料は
付加年金は、国民年金の保険料に「付加保険料」を追加して納付することで、将来もらえる年金(老齢基礎年金)に年金額が上乗せされる仕組みです。付加保険料は、月額400円とされています。
誰が加入できるの?
国民年金の第1号被保険者と、任意加入被保険者の方です。ただし、国民年金基金に加入している方は、付加年金制度を利用できません。
国民年金の第1号被保険者とは、日本国内在住の自営業者や農業・漁業者、学生、無職の方と、その配偶者の方(会社員等の方の扶養となっている配偶者、いわゆる第3号被保険者の方は含まれません)で、20歳以上60歳未満の方のことです。
また、任意加入被保険者とは、任意加入制度を利用した方のことです。この任意加入制度とは、主に60歳までに国民年金(老齢基礎年金)の満額受給ができない(40年間の納付済み期間がない)方が、60歳以上65歳未満であれば任意で加入できる制度をいいます。
年金はいくら増えるの? その申込場所は
付加年金制度によって増加する年金額は「付加年金額」といいますが、これは付加保険料を納めた月数によって決まります。具体的には、以下の算式のとおりです。
■200円 × 付加保険料納付月数
例えば、40歳から60歳までの20年間にわたって付加保険料を納めていた場合は、受給できる付加年金額は200円×20年×12月=4万8000円です。年金額なので、毎年もらえる金額である点がポイントです。
なお、付加年金は、「2年で元がとれる」といわれます。納付する付加保険料が毎月400円で、受給できる付加年金額の計算基礎が200円であるため、2年間受給できれば納付した付加保険料に達する、ということになります。
申込場所は居住地の市区町村役場の窓口になります。
その他のメリットは?
主に次のようなメリットがあります。
まず、国民年金(老齢基礎年金)は繰り下げ支給(もらい始める時期を遅らせる)を行うことができるとされており、この場合は一定の計算式による増額率によって年金が増額されますが、付加年金もこれと同じ増額率で増額されます。
また、納めた付加保険料は全額が所得控除(社会保険料控除)の対象です。
デメリットはあるの?
もちろん、付加年金もよいことばかりではありません。デメリットもありますので注意しましょう。
まず、付加年金は定額のため、物価スライドがありません。世の中の物価が上がった場合、つまりインフレになったときにリスクがあります。
また、先ほど「2年で元がとれる」と記載しましたが、逆に年金受給期間が2年に満たなくなってしまう状況では、支払った付加保険料と付加年金額の差額分だけ損してしまいます。
さらに、国民年金(老齢基礎年金)の繰り上げ支給(早めにもらい始める)を行った場合は、年金額は一定の計算式による減額率によって減額されますが、付加年金もこれと同じ減額率で減額されます。
おわりに
これまでご説明してきたように、付加年金は少額の掛金で年金給付の増加を確実に得ることができる、優れた制度であるといえます。
ただし、年金額の増加分は少額です。付加年金だけで将来の資金的な課題のすべてが解決するわけではありませんので、バランスを考えた準備が必要になる点に注意してください。
執筆者:星田直太
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))