こっそり学ぶ遺族年金(6) 遺族年金受給者の将来

配信日: 2020.11.18

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こっそり学ぶ遺族年金(6) 遺族年金受給者の将来
一家の働き手が亡くなった後、配偶者や子供たちの生活を支えるのが遺族年金です。遺族年金についての知識は、誰もがあらかじめ持っておきたいものです。「こっそり学ぶ遺族年金」の第6回のテーマは「遺族年金受給者の将来」です。
和田隆

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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シンプルに年齢を重ねた場合を想定すると…

遺族年金を受給していて、気になるのが将来のことです。遺族年金はいつまで受給できるのか、自分自身の老齢年金を受給できるようになると遺族年金はどうなるのか、など疑問点が次々と出てくると思います。
 
もちろん、人生は「山あり、谷あり」で、良い人と巡り会って再婚するかもしれませんし、運悪く事故に遭って障害年金を受給することになるかもしれません。しかし、本稿の例では、そういうケースは除いてシンプルに年齢を重ねた場合を想定します。また、現在の年金制度が変わらないものとします。
 

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A子さん40歳の場合…

A子さんは40歳です。最近、夫を亡くしました。中学生の子が1人。夫の遺族年金を受給しながら仕事に就き、子育てをします。この後、遺族年金や自身の年金がどうなるか、図示してみます。
 

受給する年金の種類が次々と変わる

時間の流れを追って見ていきましょう。
 
【1】A子さんも子も、亡くなった夫によって生計を維持していたと認められ、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給します。
 
【2】子が高校を卒業します。子に2級以上の障害がなければ、遺族基礎年金は支給停止となり、遺族厚生年金だけになります。
 
しかし、遺族基礎年金の代わりに、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が付きます。A子さんがこのとき、「40歳以上65歳未満」の条件に合致するためです。中高齢寡婦加算の金額は、2020年度は58万6300円です。
 
【3】A子さんが65歳になります。A子さんは、自身の老齢年金も受給できるようになります。老齢基礎年金と老齢厚生年金です。遺族厚生年金もあるので、組み合わせて受給することになります。なお、65歳になると、遺族厚生年金の中高齢寡婦加算はなくなります。


 

65歳以降の組み合わせは…

A子さんが受給できる年金は、どんな組み合わせになるのでしょうか。
 
まず、A子さんの老齢基礎年金は、1階部分として支給されます。次にA子さんの老齢厚生年金が2階部分として支給されます。そして、次の【a】【b】のうち最も高額になるものと、A子さんの老齢厚生年金との差額が遺族厚生年金として支給されます。
 
【a】遺族厚生年金
【b】(遺族厚生年金×2/3)+(A子さんの老齢厚生年金×1/2)
 
この遺族厚生年金が3階部分です。【a】【b】がともにA子さんの老齢厚生年金より低額の場合は、3階部分はありません。


 

節目節目で年金事務所へ

かなり複雑ですので、節目節目で近くの年金事務所に足を運び、しっかり試算をしてもらうとともに説明を受けると良いと思います。
 
なお、次の点にご注意ください。
 
・厚生年金保険等に1年以上加入していた場合は、65歳になる前に「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」が受給できる場合があり、このときは「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」と遺族厚生年金は選択になります。しかし、A子さんの年齢では該当しません。
 
・1956年4月1日以前に生まれた人は、65歳になると、中高齢寡婦加算支給に代わって経過的寡婦加算が支給されます。A子さんの年齢では該当しません。
 
・上記の65歳からの年金の組み合わせ方は、A子さんの年齢の場合です。2007年4月1日時点ですでに65歳以上で、遺族厚生年金を受給していた人の場合は、別の組み合わせ方です。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士


 

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