更新日: 2020.03.19 その他税金

所得税と住民税 課税の仕組みとその計算方法(その1)

執筆者 : 浦上登

所得税と住民税 課税の仕組みとその計算方法(その1)
毎年この時期になると、注目を浴びるのが税金の話です。今回は3回に分けて、所得税と住民税の課税の仕組みと実際の計算のシミュレーションをやってみたいと思います。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

所得税とは?

一概に「所得税」といっても、実は所得税には次の10種類があります。事業所得、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、山林所得、一時所得、退職所得、譲渡所得、雑所得
 
一つ一つ説明していると長くなるので省略しますが、人はいろいろな形態でお金を稼ぎ収入を得ます。そしてお金を稼ぐ形態に応じて、所得の種類が異なり、課税の形態や方法が異なってきます。商売をやって収入を得ている人の所得は、事業所得として把握されます。不動産を賃貸して収入を得ている人の所得は、不動産所得になります。
 
この記事では、サラリーマン(=給与所得者)の所得、すなわち、給与所得の計算の仕方について説明をしたいと思います。

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所得税と住民税

給与所得の計算の仕方に入る前に、税金の種類について解説したいと思います。給与所得に関する税金には、所得税と住民税の2種類があります。所得税は国に対する税金です。
 
それに対し、住民税は都道府県・市町村に対する税金です。それ以外にも両者の違いは、支払い時期にあります。
 
給与所得者が給与をもらうと同時に、源泉徴収という形で引き去られるのが所得税であるのに対し、翌年の4月、5月に所得税の最終税額が確定してから、翌年の6月から翌々年の5月までに差し引かれるのが、住民税です。所得税が給与をもらってすぐ支払うのに対し、住民税は1年半も後払いということになります。

所得税の計算の仕方

それでは、所得税の計算の仕方について説明します。所得税の計算にはいくつかの段階があります。それを箇条書きにすると次の通りです。
 
(A)収入
(B)給与所得控除(収入から差し引かれる金額)
(C)所得金額
(D)所得控除(所得から差し引かれる金額)
(E)課税所得金額
(F)所得税額
(G)税額控除(所得税額から差し引かれる金額)
(H)基準所得税額
(I)復興特別所得税金額(基準所得税額×2.1%)
 
計算のプロセスを一つ一つ説明したいと思います。

1.収入(A)-給与所得控除(B)=所得金額(C)

1年間の給与収入の合計額=「収入」から「給与所得控除」を差し引いたものを「所得金額」といいます。「収入」は、会社から給与所得者に支払われた金額です。それに対し「給与所得控除」は、いわば給与所得者にとっての「必要経費」というべきもので、計算式に基づき一義的に決まります。
 
「収入」から「必要経費」を差し引いて求められるのが「所得金額」です。「所得金額」は給与所得者の「利益」というべきものです。

2.所得金額(C)-所得控除(D)=課税所得金額(E)

それでは、「利益」である「所得金額」に税率を掛ければ税金が求められるのかと思うかもしれませんが、そうではありません。税法では、「所得金額」を2つに分け税金がかかる部分とかからない部分に分けて税金を計算する仕組みをとっています。
 
「税金がかからない部分」を「所得控除」といいます。「所得金額」から「所得控除」を差し引いた金額を「課税所得金額」といい、「課税所得金額」に税金が掛けられることになります。
 
「所得控除」が大きければ大きいほど税金は減るので、納税者にとっては「所得控除」がどこまで認められるかが重要になってきます。マスコミでいわれている節税対策の多くは、いかに「所得控除」を増やすかということが主要な論点になっています。
 
所得控除は全部で14項目がありますが、その性格から分類すると次の3種類に分かれます。
 
(1)本人の金銭的状況や家族構成などにかかわりなく、一律に適用されるもの
基礎控除
 
(2)本人の状況または家族構成などに基づき控除されるもの(人的控除)
配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除
 
(3)本人や家族の支払った金額またはかかった費用などに基づき控除されるもの(物的控除)
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除

3.課税所得金額(E)×(課税所得に応じた税率<超過累進税率>)=所得税額(F)

「課税所得金額」が決まると、それに税率を掛けて、所得税額が決まります。所得税は超過累進税率という仕組みで計算されており、課税所得金額が多い人ほど税率も大きくなります。
 
税率が一定でも、課税所得金額が大きくなれば税金の絶対額は増えますが、その上に税率も上がるので、税金はさらに増えます。これを「超過累進税率」といいます。

4.所得税額(F)-税額控除(G)=基準所得税額(H)

計算はこれだけでは終わりません。税額控除という税金から直接引くことのできる控除があります。
 
一般になじみのあるものは住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除です。これは一定の条件を満たした住宅ローンの残額の1%相当額を税額控除として引き去ることのできるものです。

5.基準所得税額(H)×2.1%=復興特別所得税金額(I)

最後に、2011年の東日本大震災以降に定められた復興特別所得税があります。これは基準所得税額の2.1%なので、例えば、所得税額を課税所得の10%(税額控除はなし)と仮定すると、復興特別所得税は課税所得金額の0.21%になります。
 
最終的に納税する金額は、基準所得税額(H)+復興特別所得税額(I)となります。

まとめ

今回は所得税の計算の仕組みを解説しました。その2では住民税の課税の仕組みを解説したいと思います。
 
[出典]
国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」
国税庁「所得税のしくみ」
国税庁「No.1410 給与所得控除」
国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
国税庁「No.2260 所得税の税率」
国税庁「No.1200 税額控除」
国税庁「所得税及び復興特別所得税のしくみ」
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー