更新日: 2021.02.24 控除

医療費控除って、領収書では受けられないの?

医療費控除って、領収書では受けられないの?
給与所得者は、年末調整でその年分の納税額が決定します。しかし、医療費を一定額以上払った、ふるさと納税をした場合は、確定申告で納め過ぎた税金を取り戻すことができます(還付申告)。
 
ところで、医療費控除を受ける場合に、平成29年分の確定申告から「医療費控除の明細書」の添付が必要になりました。経過措置で、令和元年度分までは、医療費の領収書の添付または提示でも良いとされていましたが、令和2年分からは、領収書の提示では医療費控除が受けられません。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

医療費控除には「医療費控除の明細書」が必須

医療費控除を受ける場合、以下の医療費控除の明細書の添付が必要です。
 

(出典)国税庁ホームページ
 
【1 医療費通知書に記載された事項】には、協会けんぽや組合健保等の医療保険者から送られてくる医療費通知を利用する場合に記入します。
 
ただし、(1)被保険者等の氏名、(2)療養を受けた年月、(3)療養を受けた者、(4)療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称、(5)被保険者が支払った医療費の額、(6)保険者等の名称が記載されているものに限ります。
 
【2 医療費(上記1以外)の明細】には、医療費通知書に記載された以外の医療費を、領収書から転記します。その際に、領収書ごとでなくても、「医療を受けた者」ごと、「病院等」ごとにまとめて記入もできます。
 
病院や薬局に支払ったものは医療費通知書に記載されていますが、病院に行くための交通費など、その他医療費控除の対象となるものについて医療費の明細に記入します。
 
また、通知書は年の途中の分までしか記載されてないことがあるため、年内に支払って記載がされてない分は領収書をもとに医療費明細に記入します。医療費通知書に記載された事項に記入がある場合は、明細書と医療費通知書を添付します。
 
確定申告に領収書の添付は必要がなくても、5年間各自で保存しなければなりません。税務署が医療費控除の明細書の記載内容を確認するためです。
 

セルフメディケーション税制も明細書を添付

医療費控除の特例として、セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)があります。
 
セルフメディケーション税制は、健康の維持増進及び疾病の予防として一定の取り組みを行っている者が、自分そして生計を一にする家族のために1万2000円以上の対象薬品(スイッチOTC医薬品・・医療用から転用された医薬品)を購入した場合には、セルフメディケーション税制を受けることができます。対象商品の領収書(レシート)に、セルフメディケーション税制対象商品であることが記載されています。
 
申告する場合は、下記2点が必要です。

●セルフメディケーション税制の明細書の添付
 
●一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類(提示でも可能)

 

(出典)国税庁ホームページ
 

一定の取り組みを証明する書類は提示でも可

ところで、一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類は提示でも可能です。

●予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)の接種済み証、または、領収書
 
●市町村が健康増進事業として実施するガン検診の領収書または結果通知表
 
●勤務先で行う定期健康診断の結果通知表(「定期健康診断」または「勤務先の名称」が記載されている必要あり)
 
●特定健康診査、特定保健指導の領収書または結果通知表(「特定健康診査」または「保険者名」が記載されている必要あり)
 
●保険者が実施する健康診査(各種健診、人間ドック)、市区町村が健康増進事業として行う健康診査の領収書または結果通知表(勤務先の企業名と保険者名が記載されている必要あり)

 
「一定の取り組み」は申告者がしていれば良く、生計を一にする家族が取り組みを行う必要はありません。そして、控除対象となるのは取り組み後に購入した対象薬品で、一定の取り組みにかかった費用は控除の対象にはなりません。
 
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできません。どちらかを選択します。ご注意ください。
 
ところで、還付申告は、翌年の1月1日から5年間の間に申告すれば良いので、確定申告の開始を待たなくても還付申告できます。確定申告の際、マイナンバー、本人確認書の添付をお忘れなく(e-Taxの場合は不要です)。
 
源泉徴収票等の添付が不要となっていますが、申告書の作成の際、源泉徴収票の記載内容が必要になりますので、お手元に準備をしましょう。
 
(参考・引用)
国税庁ホームページ
国税庁「医療費控除を受けられる方へ」
国税庁「医療費を支払った時(医療費控除)」
国税庁「令和2年分 確定申告特集」
国税庁「平成31年4月1日以後の申告書の提出の際、 源泉徴収票等の添付が不要となりました」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
 

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