更新日: 2023.08.23 控除
【退職金控除が改正!?】退職金「2000万円」は優遇措置がなくなるとどうなる? 引かれる税金を確認
また、会社で長く働いてきた人物に対して退職金は退職金所得控除で税金の優遇措置が設定されていますが、近いうちに退職金所得控除が改正されるかもしれません。
本記事では退職金所得控除が改正されると退職金がどうなるかについて解説するので、同じ会社で長く働いている方は参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金所得控除の内容について
退職金所得控除は勤続年数によって計算方法が変わるため、基本的には同じ会社で長く働いている方ほど控除額が大きくなります。退職金に対しての税金計算時には控除額が大きく関係しており、退職金から退職金所得控除を差し引いた課税退職所得金額が基準です。2023年8月現在の退職金所得控除の計算方法は、図表1を参照してください。
図表1
勤続年数(同一企業での勤務年数) | 退職金所得控除 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
・勤続年数に1年未満の端数がある場合、1年として計算する。 ・算出した退職金所得控除が80万円未満の場合、退職金所得控除は80万円になる。 |
国税庁 退職金と税を基に作成
現在の退職金所得控除では勤続年数が20年超になると、優遇措置の効果が大きくなるのが特徴です。例えば勤務年数が30年と仮定すれば、800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円になります。これが勤務年数が20年超の優遇措置がなくなれば、40万円×30年=1200万円と退職金所得控除が300万円も変わるでしょう。
退職金に対しての税金はどうやって計算する?
退職金に対しての税金はどうやって計算するかについても把握しておくのがおすすめで、上から順番に計算すると、以下の計算式になります。
(退職金額-退職所得控除)×50%=課税退職所得金額
課税退職所得金額×所得税率-所得税控除額=所得税額
所得税額+基準所得税額×2.1%=所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額
図表2
課税退職所得金額 | 所得税率 | 所得税控除額 |
---|---|---|
1000円から194万9000円 | 5% | 0円 |
195万円から329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万円から649万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万円から899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万円から1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万円から3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
国税庁 退職金と税を基に作成
退職金が2000万円で勤続年数30年の場合を当てはめて計算すると、(2000万円-1500万円)×50%=250万円×10%-9万7500円=15万2500円+(15万2500円×2.1%)=約15万5702円です。
課税退職所得金額によって税率や控除額も変動しますが、先述したように退職所得控除が300万円変わると最終的な課税金額もかなり違います。退職所得控除が改正されるともらえる退職金が少なくなるため、ライフプランも見直しが必要になるかもしれません。
まとめ
日本では長く同じ企業で働いている方に向けて退職金所得控除が優遇されていますが、内容について見直されて優遇措置がなくなる可能性があります。具体的に決定したわけではないといっても、実施された場合にはライフプランについて見直して、生活をするだけに十分なお金を確保できているか確認しておきましょう。
出典
国税庁 退職金と税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー