更新日: 2021.06.19 その他税金

2021年から住民税が変わるって本当?

2021年から住民税が変わるって本当?
2021年から税制改正により住民税が変わるといわれています。
 
しかし、住民税がなぜ、どう変わるのか理解できている人はあまり多くはありません。それでは、具体的にどう変わるのか、実際に順を追って確認していきましょう
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

住民税の仕組み自体は変わらない

結論からいえば、住民税の仕組み自体は何ら変わりません。もちろん計算式自体も変わりません。では、なぜ住民税が変わるといわれるようになったのでしょうか。答えは、住民税を計算する際に適用する控除にあります。
 
住民税は前年の所得を基に控除を差し引いたものに10%の税率(市民税6%、都民税4%)をかけて算出する所得割から調整控除を引いた後、一律5000円(市民税3500円、都民税1500円)の均等割を加えたものからなっています。
 
この度、税制改正によって先に説明した控除の部分の数値が変動となったために、2021年から住民税が変わるといわれるようになったのです。
 

給与所得控除と基礎控除の額が変動した

今回の変更において最も目玉となるのは給与所得控除と基礎控除の変更でしょう。今まで所得に関係なく一律で控除してくれていた基礎控除と、給与収入に応じて一定額控除してくれていた給与所得控除の額が変更となりました。
 
基礎控除においては今まで一律33万円控除だったものが、合計所得金額が2400万円以下であれば10万円増加の43万円に、2400万円を超えていれば所得に応じて段階的に従前の33万円よりも少なくなるよう設定されました。
 

合計所得金額 改正前の基礎控除 改正後の基礎控除
2400万円以下 33万円 43万円
2400万円超~2450万円以下 33万円 29万円
2450万円超~2500万円以下 33万円 15万円
2500万円超 33万円 0円

※筆者作成
 
給与所得控除においては年収850万円以下の方であれば、一律10万円が、それを超える方は所得に応じて最大25万円控除の金額が引き下げられます。
 

※筆者作成
 
これにより、給与所得が850万円以下であれば、基礎控除との兼ね合いで基本的に住民税に影響はないのですが、給与所得が850万円を超えていたり、その他の収入と合算して所得が2400万円を超えているような方は住民税が増える可能性があります。
 

公的年金等控除の見直し

年金収入などから控除される公的年金等控除の額が一律で10万円引き下げられました。また、年齢や公的年金等の収入、それ以外の収入に応じて控除される金額が段階的に減っていくこととなりました。
 
それにより、年齢や総収入などによっては基礎控除額の増加分以上に公的年金等控除の金額が減少し、住民税が前年度に比べて増える可能性があります。詳細は最寄りの税務署へお問い合わせください。
 

寡婦控除を受けていた方

夫と離別・死別した妻が子を扶養していた場合、寡婦控除として最大30万円の控除を受けられていましたが、その点について制限が設定されました。具体的には妻の所得が500万円を超えていると寡婦控除を受けることができなくなり、住民税が上がる可能性があります。詳細は最寄りの税務署へお問い合わせください。
 

2021年から税制が変わったことで住民税にも影響が出ます

2021年は税制に関する控除について見直しがありました。それにより、人によっては住民税の金額が上昇することもあり得ます。また、2021年からの税制は今回紹介した事柄以外にも変更点が多々あります。
 
しかし、住民税そのもの自体が大幅に変わるというわけではありません。自身の住民税について気になることがあれば最寄りの税務署に問い合わせるとよいでしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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