更新日: 2021.05.12 税金

【今年4月から義務化!】消費税込み価格の「総額表示」で損しないように注意すべき点とは?

執筆者 : 上野慎一

【今年4月から義務化!】消費税込み価格の「総額表示」で損しないように注意すべき点とは?
今年4月から消費税込み価格の「総額表示」が義務化されました。正確には、2004年4月から義務化されたものがその後2013年10月からいったん「努力目標」に緩和されていた。これが、再び義務になったのです。
 
この総額表示、「要はいくら支払うのか知りたい」、「同じ商品の販売価格の違いを比較したい」といった観点からは、【税込み○○○円】のような表示が一番シンプル。しかも、ひと目で分かる印象がありませんか。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

思わぬ負担増が起こるかもしれない「印紙税」

このシンプルで視覚的にも明快なやり方が、思わぬ負担増を招いてしまうことがあります。それは、「印紙税」で起こりえる事態です。
 
印紙税とは、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)など特定の文書に課税される税金(国税)です。課税される文書は20種類(第1号文書から第20号文書)に分かれ、それぞれに印紙税額や非課税となる文書の内容が定められています(※1)。
 
20のうち5つでは、文書に記載された契約などの金額に応じて印紙税が変わります。この5つのうち記載金額に消費税が関わるものは、次の3つです。
 

(1)第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
(2)第2号文書(請負に関する契約書)
(3)第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)

 
では、【税込み○○○円】のような表示が印紙税で思わぬ負担増を招いてしまうとは、どんなことなのか。国税庁のサイトに掲載されている事例(※2)を要約すると、こんな内容です。
 
<事例>
請負契約金額が、税抜き1000万円+消費税100万円
 
<何が問題になるの>
金額を契約書にどう記載するかによって、印紙税が次のように変わってしまう
 

(ア) 「請負金額1100万円のうち消費税額等100万円」
    ⇒ 印紙税額 1万円
(イ) 「請負金額1100万円、税抜価格1000万円」
    ⇒ 印紙税額 1万円
(ウ) 「請負金額1100万円、消費税額等10%を含む」
    ⇒ 印紙税額 2万円
(エ) 「請負金額1100万円(税込)」
    ⇒ 印紙税額 2万円

 
この事例で、請負は「広告」とされています。もしも「建設工事」の請負で2022年3月31日までの契約であれば、時限軽減措置で(ア)と(イ)は5000円、(ウ)と(エ)は1万円となります。また不動産の売買でも同様です。
 
新たに購入したり、住み替え等で売却する。持っている土地に新たに建設する。そして増改築やリフォームをする。マイホームに関して、回数は多くないとしても、人生の中でどれも経験する可能性が高いケースでしょう。
 
こうしたケースも含めて、同じ内容の契約なのに消費税の記載の仕方によって印紙税が倍半分も違ってくるのは驚きです。
 

どうして、こうなるの?

これは、課税文書を作成する場合に、「消費税額等が区分記載されているとき又は、税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めない」(※2)とされているためです。
 
先述の事例の(ウ)や(エ)でも税込みの請負金額を1.1で割り算すれば消費税額等の100万円はすぐに暗算できるように思いますが、この2つの記載では契約金額=1100万円(1000万円を超える)という金額区分で印紙税が計算されてしまうのです。
 
また先述の「(3)第17号文書」つまり領収書では、個人がたまに発行する「営業に関しないもの」は、そもそも非課税。しかし、個人でも法人でも商売絡みならば、この事例(契約金額が1000万円か1100万円か)で印紙税は2000円か4000円かに分かれます。やはり、倍半分の違いなのです。
 

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まとめ

総額表示の義務化は、消費税(および地方消費税)も含めた価格総額がひと目で分かり、比較もしやすくなるメリットがあるはずです。
 
しかし一方で、消費税額の記載の仕方によっては、印紙税が倍半分も違ってしまう場合があることは要注意でしょう。同じ国税なのに、片方の分かりやすさが高まっても他方でデメリットが発生しかねないのは、何とも皮肉です。
 
個人が契約を結ぼうとするとき、相手先が用意した標準書式のようなもので行われるケースが大半です。今回ご紹介したような印紙税の問題(消費税の記載の仕方)も、「倍」になってしまわないように配慮されているのが普通なのでしょうが、必ずそうだとは限りません。
 
契約書に書かれている消費税の表現の仕方で本当に無駄な損はしていないのか。印紙税(印紙代)を負担して契約する前に、念のためにチェックすることは無駄ではないでしょう。
 
[出典]
(※1)国税庁「印紙税額の一覧表(第1号文書から第20号文書まで)」
(※2)国税庁「タックスアンサー No.7124 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士