更新日: 2021.05.13 確定申告
確定申告はいつまでさかのぼって申告できる?
期限を失念していた場合や忙しくて確定申告できなかった場合、さかのぼって申告できるのでしょうか。確定申告期限を過ぎた場合の申告について解説したいと思います。
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。
現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。
サラリーマンも確定申告が必要?
確定申告は、必ずしなければいけない人と、申告する必要はないが申告することで税金が戻ってくる人がいます。給与所得者(サラリーマン)の人は、給与やボーナスは源泉徴収と年末調整されますので、原則、確定申告は不要です。
しかし、下記に該当する人は給与所得者でも確定申告が必要です。
1)給与の年間収入が2000万円を超える人
2)2ヶ所以上の会社から給与や賞与の支払いを受けている人
3)給与以外の所得が20万円以上ある人
4)同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている人
5)災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
6)源泉徴収の規定が適用されない給与や賞与の支払いを受けている人
確定申告をしなかったらどうなる?
確定申告が必要な人がうっかり申告を忘れていて、申告期限を過ぎていたということもあるでしょう。確定申告が必要な人が期限内に申告をしなかった場合は、以下の罰則を受ける可能性があります。
確定申告をしなかった場合の加算税として、申告などで納める税金のほかに「無申告加算税」が課されます。
各年分の無申告加算税は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える場合は20%の割合を乗じて計算された金額となります(なお、税務調査の前に自主的に期限後申告をした場合は、この無申告加算税の課税割合が5%に軽減されます)。
税金の還付がある場合、さかのぼって申告できる?
確定申告は、期限内に申告をすることになっていますが、税金の還付がある場合は5年前までさかのぼって確定申告ができます。還付がある場合とは、どのようなケースが考えられるのでしょうか。
・年末調整が受けられるケース
扶養家族がいる場合の扶養控除のほか、生命保険料や地震保険料の支払いがある場合は生命保険料控除や地震保険料控除が受けられます。仮に、このような控除の漏れに気づいた場合でも、翌年の1月31日までであれば勤務先で年末調整のやり直しの要請ができますが、2月1日以降は自分で確定申告する必要があります。
・確定申告でしか受けられないケース
医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などは年末調整できないので、確定申告をしなければ受けることはできません。なお、住宅ローン控除の2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。
まとめ
1)サラリーマン(給与所得者)の人も確定申告が必要な場合があるので、必要なケースについて確認しておきましょう。
2)確定申告が必要な人が申告しない場合、本来納付すべき税金のほかに「無申告加算税」が課されます。ただし税務調査前に自主的に期限後申告をした場合、罰則は軽減されます。
3)税金の還付が受けられる場合は、確定申告期限を過ぎていても5年前までさかのぼって申告ができます。控除の漏れがないか確認しましょう。
参考
国税庁 【確定申告・還付申告】
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー