更新日: 2021.06.24 控除
手取り額を増やすために会社員が知っておきたい控除の話
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
そもそも「控除」とは?
控除とはもともと「ある金額から一定の金額を差し引く」という意味です。税金の計算をするときは「各納税者の個別の事情を加味して税負担を調整すること」を指して使われます。
例えば、配偶者や子どもを扶養している、一定の障害状態にある、多額の医療費を負担したなどの場合に、それぞれ控除が適用されます。該当する控除が多いほど、税額計算のもとになる「所得金額」から差し引かれ、支払う税金が少なくて済む仕組みになっています。
会社員の場合、基本的に勤務先の「年末調整」で控除に該当しているかどうかを申告します。毎年11月~12月ごろに書類の記入を求められるので、今までに手続きしたことがある方も多いでしょう。
本当は控除を受けられる状態なのにそれを知らずに申告しないままでいると、本来支払う必要がない税金が支払ったままになり、結果的に手取り額が少なくなることにもつながります。これはもったいないですので、面倒でも、控除について知って正確に申告するようにしましょう。
「年末調整」で申告できる控除
控除にはさまざまな種類がありますが、まずは年末調整で申告すべき代表的な控除について見ていきましょう。条件にあてはまったら申告します。毎年行う手続きですが、特に生活スタイルが変わったときなどは確認が必要です。
●家族に関する控除
「結婚した」「子どもが生まれた」など家族構成に変化があったときに気を付けたいのが、家族に関する控除です。以下のような種類があります。
●配偶者控除・配偶者特別控除……夫または妻を養っているとき
●扶養控除……配偶者以外の家族(16歳以上)を養っているとき
●障害者控除……本人、配偶者、扶養親族のいずれかが障害者に該当するとき
●ひとり親控除……母子家庭や父子家庭など「ひとり親」に該当するとき
●保険に関する控除
保険料を支払ったときに受けられる控除もあります。
●社会保険料控除……国民年金保険料などの社会保険料を支払ったとき
●地震保険料控除……地震保険の保険料を支払ったとき
●生命保険料控除……民間企業で加入している生命保険・医療保険・個人年金保険などの保険料を支払ったとき
特に、新しく保険に加入したとき、子どもの年金保険料を負担したときなどに申告を忘れないようにしましょう。
●資産に関する控除
iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している人や、2年目以降の住宅ローンを抱えている人も、年末調整で申告することで税金の負担を減らせます。
●小規模企業共済掛金等控除……iDeCoの掛金を支払ったとき
●住宅ローン控除(2年目以降)……2年目以降の住宅ローンを支払ったとき
●その他
所得が2500万円以下なら誰でも受けられる「基礎控除」、給与を受け取っている人が受けられる「給与所得控除」などもあります。
「確定申告」で申告する控除
控除のなかには、年末調整で申告できないものも存在します。これらに該当する場合は、勤務先では対応できませんので、会社員でも確定申告が必要になります。
●医療費控除……1年間に原則10万円を超える医療費を負担したとき
●住宅ローン控除(1年目)……住宅ローンを組んだとき。2年目以降は年末調整で対応が可能
●寄附金控除……2000円を超える一定の寄付をしたとき。ふるさと納税をして「ワンストップ特例」を利用しなかったとき
●雑損控除……震災や風水害、火災や盗難などの被害を受けたとき
まとめ:手取り額にも影響する! 控除は漏れなく申告しよう
「控除には何種類もあってややこしい」と思うかもしれません。でも、控除を受けられることを知らないままだと、支払わなくてもよい税金を支払うことになり、手取りが少なくなってしまいます。
そんな事態にならないよう、年末調整などの際にはしっかりと書類に目を通し、該当する控除がないか確認し、申告することが大切です。
(出典)
国税庁「所得金額から差し引かれる金額(所得控除)」
国税庁「No.1200 税額控除」
国税庁「No.1199 基礎控除」
国税庁「No.1410 給与所得控除」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表