更新日: 2021.06.28 その他税金

住民税の改正でわたしは増税になる、減税になる?

執筆者 : 柘植輝

住民税の改正でわたしは増税になる、減税になる?
2021年度は多くの税制改正が行われました。改正により、私たちに身近な税金の1つである住民税の2021年6月納付分からは、同じ収入でも前年度から増税 、または減税になる方が出てきます。
 
2021年度の住民税が増税、減税となるのはどんな方なのか見ていきましょう。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

住民税の計算方法が変わったわけではない

まず申し上げておくこととしては、2021年度分から住民税の金額に変化が生じる方が出てくるとはいえ、住民税の計算方法や税率などが変わったわけではないということです。
 
住民税は前年の所得を基に計算されるのですが、その所得を決める際の控除の内容に変更があり、間接的に住民税に影響が及ぶことになります。
 

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2021年度から住民税が増税になる方は?

2021年度から住民税が増税となるのは次のような方です。
 

所得金額が2400万円を超える方

税制改正前は誰でも一律33万円あった基礎控除について、改正後は合計所得金額が2400万円を超える方は下記の表のように段階的に減っていき、2500万円を超えると基礎控除の額は0円となりました。
 
そのため、所得が2400万円を超える方は住民税が増税となることが想定されます。
 

合計所得金額 改正前の基礎控除 改正後の基礎控除
2400万円以下 33万円 43万円
2400万円超~2450万円以下 33万円 29万円
2450万円超~2500万円以下 33万円 15万円
2500万円超 33万円 0円

※多摩市「基礎控除・調整控除の改正」より筆者作成
 

給与所得者の方

給与所得者の方は給与所得控除を受けられるため、課税対象の給与から一定の控除額を差し引いて住民税が計算されます。その給与所得控除が下記表のように引き下げられました。
 
特に給与での収入が850万円を超える方は最大で25万円引き下げられ、住民税が他の所得者に比べて大きく増税となることが想定されます。
 

給与収入 改正前の給与所得控除 改正後の給与所得控除
162万5000円以下 65万円 55万円
162万5000円超~180万円以下 給与収入×40% 給与収入×40%-10万円
180万円超~360万円以下 給与収入×30%+18万円 給与収入×30%+8万円
360万円超~660万円以下 給与収入×20%+54万円 給与収入×20%+44万円
660万円超~850万円以下 給与収入×10%+120万円 給与収入×10%+110万円
850万円超~1000万円以下 給与収入×10%+120万円 195万円
1000万円超 220万円 195万円

※国税庁「No.1410 給与所得控除」より筆者作成
 

寡婦(寡夫)控除を受けていた方

これまでは夫と離別・死別した妻が子を扶養していた場合、最大30万円の寡婦控除を受けられましたが、改正後は妻の所得が500万円を超えると控除を受け られなくなったため、所得が500万円超の方は住民税の増税が想定されます。
 

年金受給者の方

国民年金、厚生年金、企業年金などを受け取っている方に適用される公的年金等控除の額が、税制改正で一律10万円引き下げられています。また、公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計金額が1000万円を超える場合、さらに控除額が段階的に引き下げられるようになりました。
 
こちらは少々複雑になるため、詳細については最寄りの税務署や年金事務所などへ確認するようにしてください。
 

逆に2021年度から住民税が減税となる方は?

一方、住民税が減税になると想定されるのは、給与所得者ではなく、かつ所得が2400万円未満となる自営業者やフリーランスの方です。
 
自営業者やフリーランスの方は、前述の給与所得控除の減額は影響しませんし、所得が2400万円未満であれば基礎控除の額が従前の33万円から43万円に増額されているからです。
 
青色申告の特別控除も一定の要件を満たすことで65万円分受けられることから、該当する多くの方が減税となることが想定されます。
 

住民税が変わらない方は?

給与所得控除額が減ったとはいえ、年収2400万円以下の方に関しては基礎控除の額が10万円上がっています。
 
そのため、会社員などの給与所得者で給与所得額が850万円以下、かつ所得全体で2400万円以下の方は実質的に住民税についての影響は少ないと想定できます。
 

今後も住民税の動きに注意

住民税は計算方法自体が変わらずとも、関連する控除などの制度が変更されるだけで、同じ収入でも翌年度から大きく増税・減税となることも十分にあり 得ます。
 
いきなり税金が高額となって驚いたり、損をしないためにも、住民税をはじめ税金に関する改正については常にアンテナを張っておくようにしてください。
 
出典・参考
多摩市 基礎控除・調整控除の改正
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
国税庁 No.1170 寡婦控除
 
執筆者:柘植輝
行政書士