更新日: 2021.06.29 その他税金

固定資産税の支払期限を過ぎてしまった場合の対処法って?

執筆者 : 新井智美

固定資産税の支払期限を過ぎてしまった場合の対処法って?
不動産を所有している人であれば、固定資産税の納税通知書が毎年4月~6月頃に送られてくるかと思います。
 
一括で支払うにはなかなか高額であるとともに、車を持っている人であれば5月に自動車税の納付通知書も届くことから、4月~6月は何かと出費が重なる時期でもあります。
 
固定資産税はさまざまな納付方法が用意されていますが、もし、支払期限を過ぎてしまった場合、どのような事態になってしまうのでしょうか。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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固定資産税とは?

固定資産税とは、その年の1月1日に不動産(土地および家)を所有している人に対して課税される地方税です。したがって、納付通知書はその不動産が存在する自治体から送られてきます。
 
納付方法は、納付書にて金融機関で支払う方法や、口座振替、さらに最近ではクレジットカード払いを導入している自治体も増えてきています。
 

■固定資産税の納付期限
固定資産税は一括で支払うこともできますし、分割して支払う方法もあります。一括で支払う場合の支払期限は、原則として1期分の納付期限となります。
 
分割納付については年4回の分割となり、6月、9月、12月、翌年2月の末日が納付期限とされています。
 

納付期限を過ぎてしまった場合の自治体の対応

では、固定資産税の納付期限を過ぎてしまった場合、自治体はどのような対応をおこなうのでしょうか。
 

■督促状の送付
固定資産税が期日までに納付されない場合、自治体は法律上、期日から20日以内に該当者に対して督促状を送付します。督促状を受け取った際は、期日から計算した延滞料もあわせて支払う必要があります。
 

■長期延滞者への差し押さえ通知
督促状を送っても納付されない場合は、催告がおこなわれます。具体的には催告書が届く形になりますが、それでもなお納付が確認できない場合は、自治体は税額および延滞額に応じた財産の差し押さえをおこないます。
 
とはいえ、すぐに差し押さえられるわけではなく、どのような財産があり、どの財産を差し押さえるかという調査をおこない、最終的に差し押さえ決定通知書を送付することになります。
 

■差し押さえの実行
差し押さえ決定通知書を送った後は、最終的に差し押さえの実行に入ります。差し押さえの対象となった財産については、競売などにかけられ、換価処分が取られることとなります。
 
(参考:福生市「滞納処分について」(※1))
 

期限までに支払えない場合はどうすれば良い?

固定資産税をはじめ、税金は決められた期日までに納付する必要があります。ただし、病気などの理由で支払いが困難だと認められる場合については、以下のような措置が設けられています。
 

■徴収猶予
病気や災害などの理由により、一時的に納付が困難な状態に陥った際には、納付期限前に申請することで最大1年間納付を待ってもらうことができます。
 

■換価の猶予
固定資産税を支払うことで生活が苦しくなるといった理由があり、税金を支払う意思があることが認められた場合は、納付期限から3ヶ月以内に申請することで換価の猶予を受けることができます。
 
ただし、他の税金についても滞納している場合は、この措置を受けることはできません。これらの猶予が認められた場合、分割で納付できるようになります。
 
(参考:東京都主税局「都税の猶予制度について」(※2))
 

滞納した際の延滞金はどのくらい?

もしも滞納してしまった場合、その延滞金はどのように計算されるのでしょうか。東京都の場合は、以下の計算式で計算されます。

<延滞率>

期限後1ヶ月間:2.5%
期限後1ヶ月以上:8.8%

<計算式>

{(納付税額×納付期限後1ヶ月間の日数×2.5%)÷365日}+{(納付税額×期限後1ヶ月以上の日数×8.8%)÷365日}

仮に納付税額が18万円で、納付期限後2ヶ月経過した日に納付した場合の計算式は、
(18万円×31×0.025÷365)+(18万円×31×0.088÷365)
(計算上、1ヶ月の日数は31日で計算しています)
 
となり、延滞金額は
382円+1345円=1727円≒1700円(100円未満切り捨て)
となります。
 
(参考:東京都主税局「税金の支払い」(※3))
 

まとめ

当たり前の話ではありますが、税金はきちんと支払わなければなりません。
 
もし、事前に支払うことが困難だということが分かっていれば、早めに徴収猶予制度などの利用を自治体の窓口に申し出るようにしましょう。きちんと申請し、認められればその間の延滞金が一部もしくは免除になることもあります。
 
一番いけないことは、督促状が届いたにもかかわらず放置しておくことです。そうなると、最終的には自身の財産を差し押さえられることとなり、必要最小限の生活を余儀なくされる可能性もあります。
 
固定資産税を払えないからといって家を売ろうと思っても、すぐに売れるとは限りませんし、住宅ローンの支払いが残っていたら、その支払いもおこなう必要があります。
 
固定資産税の納付については、これまで届いた税額を参考にし、同じくらいの額を計画的に準備しておくことを忘れないようにしましょう。
 
出典
(※1)福生市「滞納処分について」
(※2)東京都主税局「都税の猶予制度について」
(※3)東京都主税局「税金の支払い」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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